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善きことをした高校生達

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3Dプリンターで文化財を複製 県立博物館で触って学ぶ展示会

和歌山県 和歌山工業高校 産業デザイン科3年生のみなさん

2014(平成26)年に創立100周年を迎える和歌山県立和歌山工業高校。県内をはじめ、工業立国日本を支える優秀な技術者の育成に努めて来た同校では、生徒の伝統として、日頃の学びで得た知識や技術を活かした地域貢献活動に力を入れてきた。

昨年秋には、産業デザイン科の生徒が、工業用の立体スキャナーと3Dプリンターを使って、県指定文化財の能面など仮面のレプリカ6点を作製した。

和歌山県立博物館のロビーで、今年1月15日から2月27日まで開催の「仮面の世界へご招待─さわって学ぶ和歌祭─」を主催する同館が、視覚障害者や入場者に、自由に文化財を指先で触れて鑑賞してもらいたいと、仮面のレプリカ製作を同校に依頼したのがきっかけ。

製作を担当したのは、産業デザイン科の3年生8人。生徒が仮面を複製するにあたって最も気遣ったのは、文化財である仮面を忠実に再現すること。そのため、三次元レーザー測量による非接触のデータ測定とデータの修正、ABS樹脂を用いた立体プリンターによる形成という方法を取ることにした。

ここで活躍したのが、同校が約1000万円をかけて導入した工業用の立体スキャナーと3Dプリンターだ。

仮面の取り扱いは博物館の学芸員が担当。生徒がパソコンを操作して仮面のあらゆる角度からデータを取得し、そのデータを統合させていった。しかし、レーザーで測定したデータには、実物と微妙な相違があり、その一つひとつを時間をかけて修正した。そして出来上がったデータを、3Dプリンターにかけ、樹脂を何層にも積み重ねて精密に造形し、完成させた。手触りや重さなどの質感の再現まではできないが、本物と同じ素材で複製するよりも手間とコストが省けるという。

約2ヶ月かけて仮面のレプリカを製作した8人の3年生は、「自分の作った仮面が、たくさんの人にさわってもらえるのはうれしい」「古い仮面に間近に接することができてよかった」「先端工業技術が文化財分野に役立つとは思わなかった」と喜んでいた。

また、全日本視覚障害者協議会(東京都)では「音楽以外の芸術を楽しむ機会はほとんどなかった。今後、こうした先端技術を利用し、目の不自由な人たちが仏像や恐竜の化石なども、手で触れて鑑賞できるようになれば」と期待していた。

なお、和歌祭は紀州東照宮の春の例大祭で、神輿渡御の際に、神輿の後ろで仮面をつけて仮装し、にぎやかに練り歩く、面掛(めんかけ)行列がある。ここで使用されている仮面は、古い神事面や能面、狂言面、神楽面など約100面から構成され、全国的にも類例のない大変珍しいものという。

今回の企画展では、これらの古い面や和歌山工高生が作製したレプリカに加え、能面文化協会の能面師製作の能面3点や県立和歌山盲学校の生徒が作った土製仮面など、新たに作製された仮面を展示しており、その価値の重要性に注目が集まっている。
(2011年2月掲載)

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