世のため、人のために立派な行いをしている高校生達を紹介します。
高校生達の活躍を、ぜひご覧ください。
最新のニュース
■ 特産ゴボウを甘納豆に、メンチカツに 企業と開発、販売へ 群馬県 伊勢崎興陽高校 3年生のみなさん
■ 外国人観光客を英語でガイド 地元の魅力伝え、笑顔の交流 青森県 弘前高校 有志生徒のみなさん
■ 企業・団体とコラボ 環境配慮の商品開発を推進 徳島県 小松島西高校 TOKUSHIMA雪花菜(おから)工房のみなさん
■ ボランティア、地域活動に積極参加 地元愛育み、魅力発信 青森県 三戸(さんのへ)高校 生徒のみなさん
■ 飲食店とコラボ 新メニュー商品化 岡山の食材使用し、地域貢献 岡山県 総社高校 家政科3年生のみなさん
■ 石川県に貢献したい 能登の特産品を販売し、被災地支援 長野県 豊科高校 生徒会のみなさん
■ 土佐清水のおすすめ観光地 撮影して巡るフォトラリー開催 高知県 清水高校 3人の2年生
■ 米粉専用米を使った新商品『柏っとシリーズ』 米粉の需要拡大へ 青森県 柏木農業高校 生物生産科3年生のみなさん
■ 地域に届ける歌声、観光客にも 地元ホテルで定期公演 島根県 津和野高校 合唱部のみなさん
■ 途上国の子供たちの学びを応援 文房具4427個を寄贈 愛知県 豊川高校 インターアクトクラブのみなさん
■ 給食で使った昆布を餌に、絶滅危惧種のクロアワビの育成に挑戦 福岡県 福岡県立水産高校 アクアライフ科3年生のみなさん
■ 開業125年の無人駅活用し、昭和レトロなイベント初開催 地元活性化 佐賀県 厳木(きゅうらぎ)高校 「厳木駅活用プロジェクト」のみなさん
■ 特産梅使用の菓子開発 「梅まつり」で販売、収益を児童発達支援事業所に寄付 佐賀県 牛津高校 食品調理科、家庭クラブのみなさん
■ 鳴門わかめの規格外品活用 企業と連携し、化粧水商品化 徳島県 徳島市立高校 4人の3年生
群馬県立伊勢崎興陽高等学校の生徒たちが、地域や県内の食材を使った商品開発を進めている。
2024年には地元伊勢崎市特産のゴボウを使った商品開発を、地元企業と共同で展開した。
4月、「食と経済を考える系列」で学ぶ3人の3年生と青果会社、製パン会社、農家がコラボし、ゴボウとおからを具材にしたメンチカツをパンで挟んだ惣菜パンと、県産のヤマトイモと小松菜が入った豆乳スープを完成させた。4月20日の「春の興陽フェスタ」で販売。惣菜パンはゴボウのシャキシャキ感が美味しいと好評だった。
さらに同系列の3年生3人が青果物卸売りの青果会社と、甘納豆を製造販売する太田市の製菓会社と組んで、ゴボウの甘納豆を開発した。
生徒からゴボウのPRと需要拡大を目的に、2社に商品開発を提案。製菓会社が甘納豆作りを指導した。
3人は、ゴボウを一口大の斜め切りし、水にさらしてえぐみを取るところからスタート。甘味は砂糖とハチミツのみで、若い人にも食べてもらいたいと、生徒も試食を重ね、ほどよい甘さに仕上げた。
パッケージデザインと合わせ商品名も生徒が考案。「甘い物好きな人に感動を届けたい」と「『甘党(かんどう)』のゴボウぐらっせ」と名付けた。
メンチカツの時も協力した青果会社は「高校生らしいアイデア。企業同士のつながりも生まれ、地域が活気づく」と喜ぶ。
9月9、10日に高崎市のGメッセで開かれる北関東の物産展「きたかんFestival2024」で発売され、3人は、企業の皆さんの協力で、ゴボウの風味と歯応えが味わえる新感覚の甘納豆ができた。ゴボウが苦手な人も「かんどう」の味を楽しんでほしいと話していた。
(2024年9月掲載)
2024年7月24日、青森県立弘前高等学校の有志生徒が、クルーズ船で弘前市に来訪した外国人観光客に、英語でのボランティアガイドを行った。
同校では生徒の語学学習への意欲向上を目的に、2024年度から国際交流・異文化体験プロジェクトを発足。今回のガイド体験は、外国の人との交流の機会を増やす取り組みの第一弾で、1、2学年の有志生徒12人が挑戦した。
生徒たちがガイド活動を行ったのは『津軽藩ねぷた村』で、ねぷた村についてきちんと説明できるよう同村で事前研修を行い、この日に備えた。
当日、12人は国指定登録文化財の庭園『揚亀園』や展示コーナーなど4ヶ所に分かれて、外国人観光客約200人にガイドを実施した。
初めは緊張していた生徒たち。勇気を出して外国人観光客に話しかけると、観光客は展示品、伝統工芸品などの質問をし、生徒たちはていねいに答えていた。
「ねぷた」のことを聞かれた生徒は、同校の伝統行事で各クラスごとに一台のねぷたを制作し、市中を運行する『弘高ねぷた』の体験と知識も活かし、『弘前ねぷたまつり』のミニチュアを示しながら紹介。観光客から感謝の言葉を送られていた。
参加した生徒は「やはり緊張した。今日の経験で外国の人と話す勇気が鍛えられた」「笑顔で話しかけてくれる人もいて、安心して話せた」「とても楽しかった。英語の勉強を頑張って、もっと話せるようになりたい」と話し、初めての観光ガイドは充実の一日となったようだ。
(2024年9月掲載)
2004年、徳島県立小松島西高等学校の商業科に起業家教育の一環として、模擬会社「TOKUSHIMA雪花菜工房」が設立された。商品の企画・開発、営業・販売まですべて生徒たちが行い、2005年には、「おから」を使った『雪花菜アイス』を開発。県特産のすだちなど、旬の良質な素材だけを使ったアイスクリームとして、人気商品に。2023年にバニラが新しく加わり、イチゴをリニューアル。パッケージも小松島のシンボル、たぬきの化身をキャラクターにしたデザインに一新した。
同工房20年の歴史の中で、生徒たちは、10を超える地元企業や団体とコラボした商品開発を進めてきた。
2023年12月から、海藻を食べる食害魚「アイゴ」により環境が悪化した海の豊さを取り戻そうと、一般社団法人と漁業協同組合と協力して藻場再生に取り組んでいる。同活動の一環として、独特の臭みがあり市場に流通しにくいアイゴを、貴重な食資源として利活用する商品開発も実施。食物科の生徒が、西京焼きやしそフライなど16種もの試作を行った。2024年2月1日、社団法人のスタッフやフランス料理店、食品卸会社の社員を招いて試食会を開催した他、地域のイベントにも出品。評判の良かった竜田揚げを商品化した。
磯の香り広がるアイゴの竜田揚げは、サクッとした衣に包まれたジューシーな食感が魅力の一品となった。
食害で苦しむ漁業関係者の役に立ちたい、という生徒たち。今後もアイゴを使った商品開発を進め、地域のイベントで販売する地域貢献を行うと共に、藻場を回復させ、豊かな海を取り戻す取り組みを続けていくと話していた。
(2024年9月掲載)
青森県の県南、三戸町に約100年の歴史を有する県立三戸高等学校。生徒たちは伝統として、地域と連携したボランティア活動や様々な貢献活動を推進している。
2024年度も7月21日開催の「さんのへ川まつり」には19人の生徒が参加。会場の準備や、川下り体験に参加する来場者の安全管理などを行い、祭りを盛り上げた。
8月10日の「南部まつり」では「お化け屋敷」を担当。企画・運営全体にも参画するなど、経験を重ねることで、生徒たちは地元の大切さ、地元はいいな、という思いを強くしている。
同校では、生徒の地元愛を発揮する取り組みも進めている。持続可能な開発目標(SDGs)の視点から地域活性化策を発表するアイデアコンテストもそのひとつ。バス停に遊具を設置する「三戸遊園地計画」など、地域資源を活用し、長く住み続けられる地域実現に向けたアイデアを披露した。
2023年に新設されたクリエイティ部は、プロのクリエイターの指導で三戸町の魅力を発信するポスターの制作や空き家改装プロジェクトに挑戦。2024年、岐阜県で開催された全国高等学校総合文化祭郷土研究部門で、同部の活動が地域の活性化と少子高齢化などの課題解消に貢献できると研究成果を発表し、「公共・政策」分野で最優秀賞を受賞した。同部の活動は、2024年度から1年生のカリキュラムに取り入れられ、生徒25人が町をPRするポスター14作品を。さらに同部もポスターに連動するCM13本を制作。「町の人たちの心を伝えようと考えた」と話す生徒たちは、仲間と一緒に創るのは楽しいと話し、今後も町の活性化、魅力化に取り組んでいきたいと力を込めた。
(2024年9月掲載)
開校105年を超える岡山県立総社高等学校。社会貢献活動に力を入れており、2024年度には、家政科の3年生が岡山県特産の食材を使った新メニューを考案した。
県内や四国地方に店舗を構える飲食業者からの依頼に、同科3年生有志7人が応えた。
同社では、香川県の店舗が地元高校生が養殖した魚を料理に使うなど、高校生とコラボした活動を展開。総社店も高校生との取り組みを検討する中で、多くの料理コンテストで入賞経験のある同科に声をかけた。
7人は2チームに分かれて6月末から活動を開始。桃太郎トマトや黄ニラ、赤米など、総社市や県特産の食材を活かしたギョーザとシューマイの開発を目指した。
調理方法や味付けなど試行錯誤しながら試作を重ね、7月末に新メニュー「えびはんぺんの岡山ぷりぷり蒸しギョーザ」と「吉備の国赤米シューマイ」を完成させた。
ギョーザは、えびとはんぺん、黄ニラの種を皮で包み、ソースには「桃太郎トマト」を使ってほどよい辛味と酸味を感じる味わいに仕上げた。
生徒がこだわったのは手作りの皮。小麦のでんぷん「浮き粉」を使うことで「ぷるぷるとした食感が楽しめる」という。
具の表面に市伝統の赤米と市産のもち米をまぶしたシューマイは、市特産のセロリを入れた和風あん、白桃を使った甘酢あんをかけて食べる。岡山の魅力を存分に味わえるメニューに。
8月1日、同店の調理課長ら5人を同校に招き、試食会を開催。「店に出せるおいしさ」とのプロの評価に、緊張していた7人は笑顔に。
同社では店舗での試作やレシピの確認をした後、今秋中にも総社店を含む3店舗で提供される予定だ。
(2024年9月掲載)
2024年1月1日、石川県の能登半島で発生した能登半島地震。輪島市や珠洲市などに多大な被害をもたらした。
長野県豊科高等学校(安曇野市)の生徒会は、「自分たちにできることをしたい」と、被災地支援を学校に提案。同校から珠洲市の石川県立飯田高等学校に支援の協力を申し出、生徒会同士で支援の形を話し合うことになった。
4月からオンラインで意見を交換し、両校の文化祭でそれぞれの地域の特産品を交換して販売する活動を企画。5月、6月のオンライン会議で実現に向けてより具体的な話し合いを行った。その結果、7月6、7日に開催する豊科高校の文化祭「豊高祭」では、「復興ブース」を設けて能登の特産物の販売や、飯田高校の生徒がオンラインで能登半島地震に関しての「発表会」を実施することになった。
そして文化祭当日。「復興ブース」には、種類多く取り揃えた塩や干し椎茸、塩サイダー、クッキーなど、飯田高校のビジネスコースの生徒が選んだ能登特産の25品が並べられた。
午前10時の一般公開と同時に多くの市民がブースを訪れ、「少しでも石川県に貢献できたら」と次々と商品を購入し、塩田に海水をまいて作った塩などすぐに完売する商品も。
飯田高校の生徒による「発表会」では、地震発生時や現在の生活状況、震災の教訓などの話を聞き、その会場にいた生徒や地域住民は、いつどこで合うか分からない災害への防災意識を高めていた。
「復興ブース」で販売した商品の利益は、飯田高校に全額贈与される。さらに8月31日から2日間開催の飯田高校の文化祭には、今回の豊科高校の活動に賛同した企業の商品が無償提供された。
(2024年8月掲載)
四国最南端のまち、土佐清水市の高知県立清水高校は、2025年度から教科横断型の「未来共創科」に学科を改編。地域をフィールドとした学びを土台に考え、行動し、地域コミュニティを牽引する人材育成を目標に、生徒が自分で学び、自分で解決できる力を身につける探究学習を推進。生徒たちも地域の課題解決に向けチャレンジしている。
2024年度は観光をテーマに探究学習を進める3人の2年生が、自分たちで選んだ土佐清水の名所を、観光客が撮影しながら周遊するフォトラリーを企画・実践した。
3人は、参加者に撮影ポイントの参考にしてもらおうと、現地に出かけるなどしてまとめたラリーマップを作成。足摺宇和海国立公園内の竜串ビジターセンター「うみのわ」に、自分たちで描いた土佐清水各所の絵と共に展示した。
生徒たちが選択した観光地は14ヶ所。「唐人駄場巨石群」は、縄文早期からの遺物が発掘された唐人駄場遺跡内にあり、ストーンサークルと思われる石の配列や、千畳石から見る太平洋の夕日は絶景という。「海のギャラリー」は日本でも珍しい貝類展示館。高知の「青の洞窟」と呼ばれる松尾漁港の「海老洞」は、側に架かる歩道橋から見ると、海水はエメラルドグリーンに輝き、洞窟の入り口では神秘的なブルーに。洞窟に太陽が差し込む午前中が撮影チャンスとか。
これら観光スポット10ヶ所以上で撮影し、「うみのわ」に提示した参加者には記念品が贈られる。
9月30日まで実施中で、現地調査して新たな発見もあったという3人。多くの人が挑戦することで土佐清水の魅力を知ってもらい、また来たくなる観光のまちにするのが目標だ。
(2024年8月掲載)
2025年に創立100周年を迎える青森県立柏木農業高校。生徒は歴史と伝統をふまえ、農業と地域産業の発展に寄与するべく努めている。2024年度も、生活科学科の生徒が郷土の魅力を伝えるカプセルトイ「柏農女子津軽弁マスキングテープ」を、生物生産科果樹班の生徒が、りんごの剪定枝を活用した燻製チップ「SMOKE CHIPs」を開発するなどの活動を展開している。
生物生産科作物班の生徒は、米粉の需要と消費拡大を目的に、米粉専用米を使った新商品開発に挑戦。2022年、黒石市の洋菓子店の指導で「柏(ぱく)っとシリーズ」の第1弾「柏っとロール」を完成させ、今年度は3年生3人が、米粉専用米の新品種「あおもりっこ」を利用した商品開発を進めてきた。
「あおもりっこ」は、良質な米粉の生産が可能な高アミロース米で、生徒たちは、県外企業の協力を得て米粉8割、かたくり粉2割を配合したグルテンフリー麺「柏っとメン」を開発。試食した生徒は、モチモチとした食感が美味しいと、満足の笑顔。
6月19日、地元平川市内の13の小中学校の給食に提供。「ホタテと米粉麺のスープ」のメニューで子供たちに味わってもらった。
当日3人は小和森小学校を訪問。5、6年生約90人を前に、近年、米の消費が減っていること、米粉の需要が高まれば、米の消費量増加に貢献できることなどをクイズや動画で解説しながら、柏っとメンを作った経緯を紹介した。とても面白くわかりやすかったという児童たち。柏っとメンの評価は「おいしかった!」。
11月から市内のショッピングセンターで「柏っとシリーズ」が販売される予定で、3人は「いろんな人に食べてもらえれば」と話していた。
(2024年8月掲載)
2024年3月2日、島根県津和野町のホテルの館内ラウンジで、県立津和野高校の合唱部がミニコンサートを開いた。人気ポップスや日本の季節の歌をメドレーとして編曲した「ふるさとの四季」などを披露。宿泊客から「時間を忘れてしまうくらい聴き入ってしまった」と大好評で、5月から定期開催が決まった。
同部は、「地域に歌声を届ける」を目標とし、同校の文化祭、日原天文台や公民館、福祉施設、地域のイベント、町民と歌って交流する「ふれあい歌声喫茶」など、地域に根ざした活動を展開してきた。
ホテルでの公演は、2023年末、SNSで発信された町内のクリスマスコンサートの様子を見た同ホテルの企画担当スタッフが「当館でもぜひ素敵な歌声をお客様に届けてほしい」と打診したことがきっかけだった。
5月18日、定期開催となった初めての公演には、宿泊客をはじめ、町の人々や同校生徒も来場。部員たちは、漫画家のやなせたかしさん作詞の「さびしいカシの木」や、津和野町出身の画家・安野光雅さんが作詞した曲集「津和野」から選んだ曲など13曲を歌唱。観客たちは、ゆったりとした館内に響き渡る男声3部合唱の美しい歌声に聴き入った。観光に訪れたという宿泊客は「うれしいプレゼントをもらった」と、音楽を通して津和野の魅力を堪能した様子だった。
定期公演が「自分たちの成長につながる」という部員たち。10人に満たない同部だが、今後もフットワークの軽さを生かして、地域のさまざまな場所で活動を行い、歌声を届けていく考えだ。
(2024年8月掲載)
1928年創立の私立豊川高校のインターアクトクラブは、2024年10月、創部60周年を迎える。ボランティア活動と国際交流を柱に、児童養護施設の子供たちとの交流、募金活動、地域イベントのサポート、海外派遣研修など多彩な活動を展開。ボランティア活動功労者表彰、国際ロータリー会長賞、高校生ボランティアアワードの受賞など、高い評価を得ている。
部員の発案で実施される活動も多々あり、家庭などで使われていない文房具を回収し、文房具が手に入りにくい途上国の子供たちに贈る活動もそのひとつ。
部員たちは、全校生徒、教職員、保護者、さらに日頃から支援を受けている豊川ロータリークラブに協力を呼びかけたところ、家庭や学校、オフィスなどで未使用の鉛筆や色鉛筆、消しゴムの他、まだまだ使えるボールペンやノート、定規など24品目合計4427個もの文房具を集めることができた。
部員たちは商品ごとに仕分けした後、途上国に学用品を贈る活動を行っている東京のNPO法人に委託。同法人を通して、旅行者や駐在員など東南アジア方面に出かける人々が、現地の子供たちに直接手渡す予定で、これまでベトナムやタイ、カンボジア、フィリピンなど多くの子供たちの学習意欲を支えてきた。
同法人によると、この活動は国連のSDGs(持続可能な開発目標)17の目標のうち、「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」「つくる責任 つかう責任」など、7つの目標達成に貢献するという。
インターアクトクラブの部員たちは、「一人でも多くの子供たちが、自分たちが集めた文房具を使って学習し、笑顔になってくれたら」と話していた。
(2024年8月掲載)
高級食材として人気のクロアワビが危機に瀕している。2022年には国際自然保護連合が絶滅危惧種に指定。乱獲、密猟、地球温暖化による海水温上昇などが要因とされており、この流れを食い止めようと福岡県福津市の県立水産高校の生徒が、課題研究としてクロアワビの中間育成に挑戦している。
中間育成とは1p程の稚貝を3pくらいまでに成長させ、海に放流するというもの。2023年、宗像漁協津屋崎支所からの依頼でアクアライフ科の3年生が取り組むこととなった。同年6月、1pの稚貝約2000匹を預かり、殺菌した玄界灘の海水をかけ流すコンクリート水槽で飼育を始めた。
餌としたのは、学校給食で調理用だしに使われた昆布。これまで焼却処分されていたものを有効利用することで、餌代がかからず、焼却処分しないことで温室効果ガスの排出を減らし、海水温上昇などの環境負荷の抑制に繋がると力を込める。
アクアライフ科の教諭の指導のもと、生徒たちは朝夕は水温と塩分濃度の測定や食べ具合を確認するなどの世話を続け、2024年2月13日、初めての放流を福津市沖で実施した。3pまで育った151匹で、環境に配慮した付加価値を持つ個体を示すタグを殻に付け、3人の3年生ダイバーが、天敵のタコやヒトデがいないことを確認しながら、水深1.3〜1.5mの岩に1匹ずつ丁寧に吸着させた。
5月には、先輩の跡を継いだ3年生6人が海に潜り1400匹を放流。「廃棄昆布で安く育て、数も増えればクロアワビも安く食べられる」と話す生徒たち。漁獲できるのは2、3年後といい、密漁されたり、外敵に食べられたりせず、無事に大きくなってと願っていた。
(2024年7月掲載)
JR九州・唐津線の無人駅「厳木駅」。1899年6月に開業し、1930年建築の木造駅舎にレンガ造りの給水塔、駅舎を一部改築したギャラリーには地元出身の画家、中島潔の模写絵(花かずら)が設置されている。同駅を活用した地元活性化に取り組んでいるのが、佐賀県立厳木高校の生徒たちだ。
2023年4月に厳木高校の生徒と教育振興会の役員とのちょっとした会話をきっかけに、生徒と同校の教育振興会が協力し「厳木駅活用プロジェクト」が始まった。休日などを利用して学校外の施設を借りて生徒・保護者・学校職員・地域の方が集まり、様々な意見が交わされた。その中で、閉鎖しているギャラリーを冬までに開放し、寒さをしのげるようにすることを目標とした。
2023年7月、全生徒の約9割が利用する同駅に関し、生徒や保護者などへのアンケート調査を実施し、改善点として、暑さ寒さをしのげて、いすやテーブルがあり、電車の待ち時間を安心して過ごせる空間にしてほしいという声があがった。さらに、改装するなら今の駅を残したいかという質問に対し、駅舎のレトロな外観を残しつつ、駅の環境改善を希望する意見が多数を占めた。
アンケートの結果やプロジェクトの進み具合は、随時、JR九州や地域団体、市、その他関係機関に共有をしていった。
そのような中、ギャラリー内の雨漏り修復工事が実施され、トイレの壁面補修が実施されていった。
同年12月には、地域の団体の協力により厳木駅での弁当販売をスタート、県内外の高校生が佐賀の素晴らしさを新たに発見・再認識する機会として、「佐賀の素晴らしさを同世代の若者に伝える」をテーマとして、そのアイデアを高校生が競う佐賀県主催の「第7回企画甲子園」に出場。「昭和にタイムスリップできる駅〜厳木駅をレトロで温かみのある駅に〜」と題し、厳木駅を活用する様々な案を発表。企画甲子園初となる審査員特別賞「未来賞」を受賞した。2024年1月からは長らく閉鎖されていたギャラリーが開放され、生徒たちの待合室として利用できるようになり、3月には、美術部が16年ぶりに中島潔の模写絵を「夏のバス停」にリニューアルした。
さらに新たな試みとして6月2日を「無人駅の日」と定め、記念イベントを開催。駄菓子釣りや花札、けん玉などの昭和の遊び体験、地元店舗の商品などが当たるビンゴ大会などの他、地元店のお弁当や野菜、パンなどの販売も行われ、いつもは静かな無人駅が大いに賑わった。
生徒たちは、今回のイベントを「企画甲子園」での提案実現の第一歩と考えており、今後も地域と連携し、より良い駅環境づくりを目指していくと話していた。
(2024年7月掲載)
佐賀県立牛津高等学校の地元、小城市の梅の名所と知られる牛尾(うしのお)梅林。約22ヘクタールのエリアに約5000本もの梅を栽培しているが、農家の高齢化や担い手不足による梅林の荒廃が地域の課題となっている。その課題改善のため、牛津高校の家庭クラブを中心に、2017年から地元の奉仕団体と周辺の環境保全や梅の収穫、芋畑の整地、山椒の苗木の植樹などを推進。2024年3月3日に開催された「第34回小城市三里牛尾梅まつり」では、前日の2日に環境美化活動と梅まつりの準備、当日は梅まつりの補助員や商品販売などを担当した。
梅まつりで販売した商品は、食品調理科の生徒が、地域の課題発見・解決への実践的学習に取り組む同校の独自科目「起業家入門U」の授業で開発したもの。牛尾の梅を使った「梅ジャムクッキー」に、市内の和菓子店と協力し考案した梅のペースト入り大福「梅福」、規格外の佐賀県産玉ねぎ、れんこんを使用したドレッシング「佐賀ドレ」の3種。
「これからも商品開発を進め、地域を活気づけたい」と意気込む同科の生徒は、今回の梅まつりで得た収益を社会貢献に活かしたいと考え、地域で子ども食堂などを運営する、児童発達支援放課後等デイサービス事業所に寄付することに。5月23日、2人の生徒が事業所を訪問し、代表に手渡した。生徒たちは、子ども食堂や学習支援の活動にボランティアとして参加しており、「活動資金として役に立ててもらえれば」と話していた。
(2024年7月掲載)
鳴門の渦潮を生み出す激しい潮流で育ち、シコシコとした歯ごたえと風味の良さで知られる「鳴門わかめ」。その規格外品を活用した化粧水のパッケージデザインを担当した生徒たちがいる。徳島市立高等学校の4人の3年生だ。
今回の活動は、興味のある分野の調査学習を通して進路設計に役立てる「市高レインボープラン」の一環。4人は、県の特産物を調査するため、鳴門市で鳴門わかめの加工販売を行う企業を訪問。同社はわかめの持つ有効成分を活かした化粧品や健康食品の開発にも取り組んでおり、今回は商品選別の工程などで使われずに廃棄される規格外品のわかめを有効活用した若年層向けの化粧品を開発した。使用したのは根本部分のメカブから抽出した「フコイダン」。保湿力に優れ、長時間肌の潤いを保つ効果があるとされる。生徒たちは同社社長からこの新たな商品のパッケージデザインを提案された。
商品名は「シー」。同世代など若年層に関心を持ってもらおうと、半透明の容器、シンプルなデザイン、オリジナルキャラクターを考案するなど様々なアイデアを盛り込んだ。また、化粧水自体は同社の既製品とほぼ同様だが、着色料やパッケージなどを省くなどの工夫を施し、150ミリリットル入り2000円以内、30ミリリットル入り1500円以内にと、価格を抑える予定だ。
年内に生協や量販店、関東のセレクトショップなどでも発売する予定で、生徒たちは「通常なら捨てられてしまう規格外の食品も、その成分などを活かせば新たな商品に生まれ変わることを、もっと広めたい」と話し、男性用化粧水の開発を企画中と意欲的だった。
(2024年7月掲載)