世のため、人のために立派な行いをしている高校生達を紹介します。
高校生達の活躍を、ぜひご覧ください。
音楽で結ばれた絆 被災地校へ音響機材を寄贈
北海道 札幌平岡高校 軽音楽部のみなさん
北海道・石狩平野の南西部に位置する札幌市。人口190万人、時計台や巨大な雪像が居並ぶ雪祭りなどで知られるこの都市に、北海道札幌平岡高等学校がある。1987(昭和62)年創立の同校は、「努力・忍耐・感謝」の校訓のもと、「知性を磨き、創造性豊かな生徒」「思いやりの心を持ち、主体的に行動する生徒」「他の人格を尊重し、社会性に富む生徒」「心身を鍛え、粘り強くやり通す強い意思を持つ生徒」の育成に取り組んでいる。生徒もその期待に応えるべく日々努力を重ね、様々な活動に取り組む中で、人間的成長を図っている。
今年6月には、同校軽音楽部の部員が、東日本大震災で被災した宮城県の気仙沼向洋高校の軽音楽部に音響機材を寄贈した。
同部では、今回の震災で被害にあわれた方々に対し、「自分たちになにができるのか」考え、模索してきた。その結果、日頃から、一音一音に自分の思いを込めて表現し、伝える音楽の創造に努めていることを踏まえ、自分たちの気持ちを表現した「歌詞」を書くことで、被災者を応援することに決めた。
そして震災から二ヶ月後の5月17日、東日本大震災復興支援「Challenge for your smile」プロジェクトをスタートさせ、同部のホームページに部員の歌詞をアップしたほか、オリジナル曲を録音したCDを作り、被災地の高校など15ヶ所に送ってきた。
その活動の中で、顧問の教諭から気仙沼向洋高校が津波で校舎が全壊し、軽音楽部も機材が全て流されたため、部活ができず困っていることを聞いた。
そこで、同じ軽音楽部の仲間として「何か協力できることはないか」と話し合い、自分たちが使用していた音楽機材を贈ることになった。さらに日頃から交流のある札幌平岸高校と札幌東商業高校の軽音楽部にも呼びかけたところ、すぐに賛同を受け、3校でアンプやミキサー、キーボードとレコーディング機などの音響機材を集めることができた。
しかしここで部員たちに大きな壁が立ちはだかった。これらの機材を送るには高額な運送料がかかることがわかったのだ。
そんな時、札幌西高校ボランティア部顧問の教諭のネットワークから、東日本大震災の被災者支援を行っている市民ネット「むすびば」の代表から連絡があり、ちょうど被災地調査で現地入りするので、と機材を運んでくれることになった。
同代表は、部員たちが集めた機材を車に積み込み、6月3日に苫小牧を出て、4日に気仙沼向洋高校を訪問し、機材を手渡した。同代表によると、軽音楽部の部員らは、「これで活動が再開できると、たいへん喜んでいた」という。
札幌平岡高校軽音楽部の部員たちは「音楽を思う気持ちがつながった」「代々部活で使用し、自分たちを支えてくれた機材が、気仙沼向洋高校軽音楽部の力になり、これからの音楽活動の支えになれば幸いです」と話す。そして、今回の活動のきっかけを作った顧問の教諭をはじめ、機材を提供してくれた札幌平岸高校と札幌東商業高校の軽音楽部の部員たちや市民ネット「むすびば」など、多くの人の様々なサポートを受けて、今回の活動が達成できたことに、「初めは小さな気持ちから始まったことが、色々な方々にどんどん繋がって大きな輪になっていくことを感じた。協力していただいたみなさんに感謝しています」と話していた。
部員の活動を見守った顧問の教諭は「今回贈った機材は平岡高校軽音楽部が創部された時期、機材がなく困っていた時に知人が「それじゃあ活動が大変でしょう」といって寄付していただいた機材でした。その機材たちがまた別の場所で活躍していることを思うと胸が熱くなります」と音楽が結ぶ絆の確かさを改めて感じたようだった。
なお、同校軽音楽部の東日本大震災復興支援活動はまだまだ続いており、9月28日には「チャリティライブ兼第17回定期ライブ」を開催するほか、来年の3月までに歌詞に曲をつけ、CDアルバムとして贈ることを目標に現在も挑戦している。
(2011年8月掲載)