世のため、人のために立派な行いをしている高校生達を紹介します。
高校生達の活躍を、ぜひご覧ください。
被災地の子どもたちに歌でエールを 義援金や支援物資も募る
大阪府 鶴見商業高校 軽音楽部のみなさん
今年1月、大阪市立鶴見商業高等学校の軽音楽部の生徒は、宮城県大崎市を訪れた。同県立古川黎明(れいめい)高校軽音楽部とクラブ合宿で交流し、親交を深めた。その2ヶ月後、「雪景色ですごくきれいな町並みが広がっていた」と語る部員らの思い出の町に、東日本大震災が襲った。
「地面が割れている」「電柱が倒れている」……仲良くなった古川黎明高校軽音楽部の部員から届いたメールは、生徒にとって衝撃的なものだった。
「被災者のために、遠くにいる自分たちにもできることを」と、部員たちはチャリティーコンサート「シング・フォー・ザ・フューチャー」を企画。開催に向けてすぐに行動をはじめた。
軽音楽部などで幅広いネットワークを持つ顧問の教諭にお願いし、協力を呼びかけてもらった結果、高校のコンテストなどで活躍する近畿各府県の強豪校10校に加え、OB、OGや教師たちで作るバンドなど8グループが次々と参加を表明。最終的に総勢約330名が出演し、さらに、鶴見商高ほか3校から音響・舞台進行・司会・記録などを行うスタッフ約50名が参加することになった。また、今回の活動の趣旨に賛同した大型複合施設「アジア太平洋トレードセンター(ATC)」(大阪市住之江区)が、コンサート会場の提供を申し出た。
今回の活動の特色は、震災の復興が長期にわたることから、音楽を通して“息の長い支援啓発”を目指していることで、今後2ヶ月に1回、1年間実施することを決めた。
そして5月5日のこどもの日に、第1回のチャリティ−コンサート「シング・フォー・ザ・フューチャー」がATCの「海辺のステージ」で開催された。
毎回テーマを決めて支援物資を募ることにしており、今回のテーマは「被災地の子どもたちに歌でエールを送ろう」。津波被害を受けた地域では子どもの遊び道具が足りていないことから、会場で義援金のほか、子ども用の靴、電気を使用しないおもちゃや楽器、絵本などの寄付を募った。
この日、鶴見商高の軽音楽部は3曲を演奏。昨年9月に全国大会(音楽甲子園)決勝大会に出場し、ベストボーカル賞とベストプレイヤー賞受賞の実力を存分に披露した。部員たちは「輝く未来を切り開こうという気持ちを込めた」「歌でエールを送らなければ私たちの存在意義はない」と話し、「音楽で何かを伝えるために軽音部に入った。歌を通して一人でも多くの人を笑顔にできれば本当にうれしい」「被災地の一刻も早い復興を願い、今後も私たちのできるエールを送っていきたい」といっそうの意欲を見せていた。また顧問の教諭は「いずれは古川黎明高校も一緒にライブができるようになれば」と語り、校訓の「愛 誠 礼」(人を愛する思いやりの気持ち、誠意をつくす気持ち、礼儀をわきまえる態度を持った人間)の精神を生かし、今回のチャリティ−コンサート「シング・フォー・ザ・フューチャー」を発案、実現に努めた生徒の成長に眼を細めていた。
なお第2回は、7月10日(日)にATCの「ピロティ広場」で開催される予定だ。
(2011年6月掲載)