長野県 伊那小学校 4年仁組のみなさんの善きことニュース

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農地を潤す西天竜幹線用水路を汚さないで!啓発活動に感謝状

長野県 伊那小学校 4年仁組のみなさん

長野県南部、信州伊那谷の北側に、通知表のない学校として知られる伊那市立伊那小学校がある。1872(明治5)年に創設されて以来、今年度で開校140周年を迎える同校は、「真事・真言・誠」の3つの“まこと”を教育目標としている。児童も、この目標に沿い、日々の学習や学校生活はもちろん、ふるさとを大切にする活動にも真摯に取り組み、地域の評価も高い。

今年2月16日には、天竜川右岸の水田を潤す西天竜幹線用水路の不法投棄防止啓発活動に取り組んできた4年(現5年)仁組の児童28人に、同水路を管理する西天竜土地改良区から感謝状が贈られた。

西天竜幹線用水路は、大正から昭和の初めにかけて、岡谷市川岸の天竜川取水口から伊那市小沢まで開削された全長約25キロにおよぶ農業用水路で、完成後、約1,200ヘクタールの水田が新たに生まれるなど、今も同地域の農業を支え続けている。

伊那小4年仁組の児童は、昨年度の総合的な学習の時間で地域を探索し、気になるものや調べてみたいことなどを見つけ、それらの探求を行ってきた。その中でたどり着いたのが、西天竜幹線用水路で、沢尻サイホンや円筒分水槽などを見つけてきた。

“もっと知りたい”と、昨年8月26日には、長野県上伊那地方事務所が実施する農業用水探検隊に参加。西天竜幹線用水路の始まりとなる頭首工から深沢サイホン、八乙女の水路橋、西天竜開田記念碑、西天竜発電所などを見学した。

探検のあと、子どもたちは、以前見た沢尻サイホンやこの日見学した頭首工や深沢サイホンなどにたくさんのゴミが捨てられていたことから、みんなで考えて自発的に掃除をしようということになった。

思い立ったらすぐに行動をと、仁組の児童は西天竜土地改良区や農地整備課に相談し、10月4日に掃除作業をすることになった。当日はあいにくの雨だったが、児童は元気に深沢サイホン入り口側水槽に集合し、不法投棄されたゴミの清掃活動を行った。ペットボトルや空き缶、空きビン、弁当の空容器、家電製品まで捨ててあり、子どもたちをあきれさせた。

清掃後、子どもたちは土地改良区へ「フェンスを高くする」「看板に捨てられたゴミの写真を貼る」など、ゴミを捨てられないようにする方法などを提案した。

しかし、十分な清掃活動ができなかったことから「今できることは何か」を考え、西天竜幹線用水路で相次ぐ不法投棄の防止を図ろうと、用水路沿いに啓発ポスターを貼ったり、自作の啓発チラシを作成した。今年の2月1日にはJR伊那北駅前や伊那郵便局などで市民に配布し、西天竜幹線用水路の現状を説明。「ゴミを捨てる人がいなくなるようにご協力お願いします」と訴えた。

そして2月16日。この地道で精力的な啓発活動が認められ、仁組児童に感謝状が贈られることになった。当日は、西天竜土地改良区と県上伊那地方事務所の代表が同校を訪問。改良区の代表が献身的な児童の活動に感謝し、「大人になっても、不法投棄をしてはいけないと広めて」と呼び掛けた。今後の活動に生かしてもらうため、文房具や絵の具セットなどもプレゼントした。

仁組の28人の児童は、「お米づくりなど、農業に使う大切な水。ゴミで汚してほしくない」「これからも頑張って西天竜をきれいにしていきたい」とさらなる意欲を見せていた。児童は今年度も学習を継続する方針で、今後は活動費を賄うため、用水路の水で農作物をつくり、販売することを計画しているという。

(2011年4月掲載)

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