世のため、人のために立派な行いをしている高校生達を紹介します。
高校生達の活躍を、ぜひご覧ください。
地元伊東市活性化へカステラ開発 3つの味で観光客に好評
静岡県 伊東商業高校 伊東学の生徒のみなさん
1963(昭和38)年、伊豆半島唯一の単独商業高等学校として開校した静岡県立伊東商業高校。同校は、校訓「開拓」のもと、次代を切り拓き、地域の人々に愛され、信頼され、かつ地域社会に貢献できる人材の育成を目標としている。生徒も、創立以来受け継がれ、培われてきた「開拓」の精神を生かし、地域の未来づくりに貢献する様々な活動を展開している。
今年3月には、同校独自の課題研究「伊東学」を学ぶ生徒が企画し、地元の菓子製造会社の協力で開発した菓子「いとうすけちかすてら」を、道の駅伊東マリンタウン(同市湯川)で発売した。
「伊東学」とは、地元伊東市の情報や歴史などを学び、そこで培った知識や資質、能力を生かして、地域活性化や今後の地域づくりに役立てていくことを狙いとしている。
今回の新商品の開発は、昨年度受講した3年生21人(今年3月卒業)が企画した。
21人の生徒は、「伊東学」を通じて、伊東市のために自分たちは何が出来るかを考える中で、三浦按針や日蓮など歴史上の偉人にゆかりが深い同市ならではの商品を作ることを計画。1年間、市内の歴史や観光産業などを調査・分析してきた。そこで、なぜか「伊東」の地名の由来とされる中世の豪族「伊東祐親(いとうすけちか)」にまつわる商品が販売されていないことに気付き、祐親をモデルにした菓子を作ることを決めた。
伊東祐親とカステラをかけた「いとうすけちかすてら」のネーミングも、生徒が考えた。
また生徒は、市を調査する中で、高齢の観光客が多いこと、市や伊東温泉が「健康保養地づくり」を推進していることなどから、豆乳、豆腐入りのカステラの開発を目指した。
この生徒の活動に、地元で80余年の歴史を誇る菓子製造会社(同市猪戸)が協力。同社の工場で生徒も参加して試作づくりに取り組んだ。2月2日には最終の試作品づくりを行い、生徒も納得する味に仕上がった。
味は地場産のぐり茶とミカン、若者向けのチーズの3種類。ぐり茶は大人っぽい兄「すけお」、チーズはそそっかしい弟「すけち」、ミカンはおてんばの妹「すけみ」と、それぞれにキャラクターを添えて親しみやすさを演出。パッケージには祐親に関する説明文や史跡の地図を印刷して、観光客が食べ歩きを楽しめるように工夫した。生徒と開発に取り組んだ菓子製造会社の社長は「伊東商高生徒のみなさんの柔軟な発想に驚かされた。私たちも非常に参考になった」という。
そして3月から、道の駅「伊東マリンタウン」内にある同社の姉妹店の和菓子店で1個100円、1日100個の販売(3月末まで数量限定)をスタート。6日には同マリンタウンで開催された「伊東お菓子ぃ共和国」の即売会で販売すると、観光客から「おいしい」と人気を呼び、用意した160個は1時間足らずで完売した。
期間中に販売した売上金の一部は、市内の福祉関連施設に寄付する予定という。
なお、「いとうすけちかすてら」の企画開発で21人の3年生は、今年2月の県商業教育生徒研究発表会で審査員奨励賞を受賞。生徒は「地域活性化の願いを込めた」「食べながら伊東の観光や歴史を楽しんでもらえればうれしい」と話す。また、生徒を指導した教諭は「来年も『伊東学』を通して新しい商品を発売したい」と、さらなる意欲を見せていた。
(2011年4月掲載)