
世のため、人のために立派な行いをしている高校生達を紹介します。
高校生達の活躍を、ぜひご覧ください。
最新のニュース
■ 伐採した樹齢800年の御神木で額を制作 今後も町を見守ってと、神社に奉納 広島県 熊野高校 美術部、書道部のみなさん
■ 伝統漁法「ウナギ塚」を設置 有明海の生き物を採取、観察 佐賀県 鹿島高校 科学部のみなさん
■ ミャンマー地震被災地のいち早い復興願い 同国留学生と募金活動を実施 京都府 福知山成美高校 生徒会のみなさん
■ 津和野を舞台にセカイとつながる 外国人と交流 英語でガイド 島根県 「HAN−KOH(みらい共創センター)」 ツワノセカイ部のみなさん
■ 被災者に寄り添う支援 今治山林火災復興へ寄付呼びかけ 愛媛県 川之石高校 生徒のみなさん
■ 能登半島の復興促す募金活動 続けることが被災者の心の支援に 佐賀県 龍谷高校 サッカー部、生徒会のみなさん
■ 絶滅危惧種ホトケドジョウの保全活動で、林野庁長官賞 神奈川県 上溝南(かみみぞみなみ)高校 生物探究部のみなさん
■ 甘酸っぱーい恋の味 新商品「恋するプリン」をプロデュース 岡山県 倉敷商業高校 商業研究部のみなさん
■ 不法投棄✖️ 風神雷神が防止訴え 壁画パネル制作 大阪府 今宮工科高校 グラフィックデザイン系のみなさん
■ 桜の入浴剤を商品化 市のシンボル桜並木保護に収益金を寄付 東京都 国立(くにたち)高校 少林寺拳法部員のみなさん
■ 若い視点でYAコーナーをリニューアル 「人が集まる図書館」に 沖縄県 首里高校 有志生徒のみなさん
■ 多忙な教員をサポート 子供たちの放課後教室など多彩に支援活動 鹿児島県 加世田高校 学校支援協力隊のみなさん
■ 修学旅行で思い出に残る民泊体験 伊江村に感謝の寄付 福岡県 純真高校 2年生のみなさん
2024年5月。広島県熊野町の榊山神社の樹齢800年といわれる御神木が、腐食が進み、倒れるおそれがあるとして伐採された。
御神木は鎌倉時代から熊野の町と人々を見守り続けてきた、高さ約20メートル、幹回り約4メートルの巨大な杉の木で、70年ほど前、雷に撃たれたものの、社殿は火災を免れたことから、「神様と神社を守った木」として地元の人々に愛され敬われてきた。
「この御神木を後世に伝えたい」と、地元の広島県立熊野高等学校の「芸術類型」で学ぶ生徒たちが、榊山神社御神木プロジェクトを立ち上げた。神社と相談し、伐採した御神木で奉納額を作り、神社の拝殿に飾ることになった。
まず地元の宮大工が御神木を製材し、板を制作。次に美術部の生徒がその板に、鎌倉時代から令和まで、各時代の人々が御神木を囲み、語り合う絵を描いた。続いて書道部の生徒が、町特産の筆を使って「絆 災いを乗り越え八百年 この地を守り歴史を語り継ぐ」と揮毫したものをトレースして書き入れた。最後に美術部立体造形担当の生徒が、宮大工の指導のもと彫刻を施し、額縁を取り付けた。
約4ヶ月かけて完成した奉納額は、縦約1.2メートル、横約1.5メートル。中央に描かれた御神木の幹にはあえて色を塗らず、木の地をそのまま生かした。美術部の生徒は「御神木そのものを見てほしい」と語る。
2025年4月23日、榊山神社で奉納額の奉納奉告祭が行われ、生徒約40人が参列。同校音楽部の演奏で始まり、同神社の宮司が祝詞を挙げ、最後に宮大工が拝殿に掲げた。
生徒たちは「御神木の偉大さをこれからも語り継いでほしい」と願う。宮司は「巨木から奉納額へ、形は変わっても、御神木として今後も熊野の町を見守り続ける存在になると思う」と話していた。
(2025年6月掲載)
佐賀県の有明海には、国際的に重要な湿地に関する条約「ラムサル条約」に登録された湿地がある。東よか干潟、荒尾干潟、肥前鹿島干潟の3か所で、干潟の保全や賢明な利用を目指した活動が展開されている。中でも干潟を活用した学習活動が積極的に進められており、佐賀県立鹿島高等学校の科学部では、伝統漁法である「ウナギ塚」と棚ジブを用いて、有明海の生物を捕獲し、調査・観察などに取り組んでいる。
「ウナギ塚」は、川や海の境目など、ウナギの通り道に穴を掘って網を敷き、その周囲と中央に石などを積み重ねて塚を作り、その石の隙間に隠れる生物を捕獲する伝統漁法。
今回部員たちは、干潟を利用した「干潟体験」や「鹿島ガタリンピック」の会場として知られる「道の駅鹿島」近くの小川が流れ込む地点、3か所に「ウナギ塚」を設置。4月27日に地域住民の指導の下、塚を開いた。
部員たちは上の石から一つ一つ丁寧に取り除き、川底に敷いていた網を上げると、石の間に隠れていたウナギをはじめカニやハゼなどが姿を見せた。
顧問の教諭がウナギを透明な容器に移し替えようとしたときに、1匹のウナギが身をくねらせて逃げ出したが、1年生の部員が泥干潟を走って捕獲しに行き、無事に捕獲することができ、歓声が上がった。今回は7匹のウナギを捕獲し、うち1匹は60cmを超える大物で、道の駅鹿島の干潟展望館に展示してもらうことになった。小さいものは学校に持ち帰り、研究の材料とした。
「こんな大きなウナギが捕れたのは初めて」と歓声をあげる部員たち。ウナギの他にも多彩な生き物を採取でき、有明海により興味がわいた。今後も生態調査を続けたいと、意欲を見せていた。
「棚ジブ」は、海上に小屋を設置し、ジブと呼ばれる、特殊な四手網を海中に沈めておき、潮の流れに乗ってくる小魚類を網ですくう漁法で、エビ類やワラスボ、ウナギ、アカエイなどを捕獲できる。季節によって捕獲できる生物が違うため、いつどんな生物を捕獲できるのかに興味を持って取り組んでいる。
(2025年6月掲載)
創立以来150年超の伝統を誇る福知山成美高等学校。生徒を主体とした地域貢献活動など、多様な社会貢献活動に取り組んでいる。
自然災害被災地支援にも積極的で、2024年には、生徒会が元日に起きた能登半島地震被災者に役立ちたいと、市の共同募金委員会による能登半島地震義援金活動に参加。2025年は、ミャンマー地震被災地のいち早い復興をと、生徒会が同国から留学中の生徒3人と協力し、同校内で募金活動を実施した。
3月28日に発生したマグニチュード7・7の大地震では、死者・行方不明者3800人以上、20万人以上が避難生活を強いられた。
同校には、ミャンマーからの留学生が3人在籍しており、うちひとりは生徒会の役員を務めている。3人は震源地から約600キロ離れたヤンゴン出身で、家族は無事だったが、甚大な被害に見舞われた母国を心配する3人の心情を思い、生徒会が募金活動を企画した。
新年度の始業式が行われた4月9日、3人は全校生徒にミャンマーの現状について説明。支援・協力を呼びかけた。生徒会も活動を知らせるポスターを作成し、翌10日、11日、14日の3日間、同校内で募金活動を実施。「とても不安」「被災した多くの人を助けたい」という3人の「ご協力をお願いします!」との声に多くの生徒が応え、計3万5339円が集まった。
最終日の14日、店頭で募金を受け付けるコンビニエンスストアに生徒会代表が訪れ、同店店長に生徒から託された義援金を手渡した。
「ミャンマーの価値では大金」と驚く3人は「みんなが協力してくれてうれしい」と感謝。生徒会のメンバーは「ミャンマーのために少しでも力になれたら」と話していた。
(2025年6月掲載)
2023年4月、津和野高校に併設されている「HAN−KOH(みらい共創センター)」に「ツワノセカイ部」が開設された。部員は島根県立津和野高校の生徒たち。「津和野を舞台にセカイとつながる」をキャッチフレーズに、津和野の町を歩いて自分たちの視点で発見した町の魅力を、英語でインスタグラムやFacebookで世界に発信したり、町内の旅館へ来た外国人観光客に町案内や接客を行うなどして、実践的な英語を習得するよう活動してきた。
2025年4月には、公益財団法人AFS日本協会のボランティアのサポートで山口県内の高校で学ぶタイ、オランダ、イタリア、ドイツ出身の外国人留学生4人と、同県在住の海外留学の予定および経験のある高校生4人、ツワノセカイ部の部員7人で交流会と、部員の英語ガイドによる津和野観光を実施した。
交流会では、留学生4人からそれぞれの母国の歴史や文化、スポーツについての紹介や、グループに分かれてゲームやトークを楽しんだ。
部員からは、「普段知ることのない他国のことを知ることができた」「グループごとのトークでは思ったよりも話せた」などの感想が寄せられた。
津和野観光では太皷谷稲成神社、鷺舞広場、殿町通り、カトリック教会などを散策。日本五大稲荷の一つ、太皷谷稲成神社では、部員が参拝方法や歴史を英語で説明。留学生からは「英語ガイドは分かりやすく、知らない文化が知れて面白かった」と好評だった。
同部では、今後も外国人観光客への無料英語ガイドや同世代の外国人との交流など、活動の幅を広げていく考えで、「世界の人に津和野の魅力を発信するだけでなく、自分たちも異文化への理解を深めたい」と話し、そのためにも英語力を高めたいと意気込んだ。
(2025年6月掲載)
愛媛県八幡浜市の県立川之石高等学校は、100年を超える伝統として地域に貢献する人材の育成に力を入れている。生徒も、川之石地区住民交流拠点「みなせ」で開かれる「からみ市」でのボランティアなど、様々な貢献活動に取り組んでいる。
2025年4月には、3月23日に今治市で発生した大規模山林火災の被災者と山林の復興を支援しようと、道の駅「八幡浜みなっと」で募金活動を行った。
今回の山林火災の焼失面積は、今治市と隣接する西条市を含めて約442ヘクタールと県内では平成以降、最大規模の山林火災となり、住宅や倉庫など22棟が被害を受けた。
「家の窓を開けたら、火が近くに見えて怖かった」「家が焼けるかと思い、不安だった」など、被災地の住民の言葉に、生徒の「何かできることはないか」の声があがり、募金活動を行うことになった。
生徒会が各部活動に協力を要請。ライフデザイン部、情報ビジネス部、YVS部をはじめ、福祉サービス系列などからも多くの生徒が手を挙げた。
募金活動は4月19日、20日、26日、27日の4日間、道の駅「八幡浜みなっと」で実施。2日目の20日には約20人の有志生徒が参加し、観光客や買い物客に被災した山林復興への支援を呼びかけた。
被災者を思う生徒たちの真剣な訴えに、心動かされた多くの人々が募金に協力していた。
参加した生徒は「たくさんの募金をしていただいた」と感謝し、「募金してくれた人の優しさが、被災した人たちに届き、日常生活を取り戻せる手助けになれば」と願っていた。
集まったお金は今治市の火災義援金に寄付する。生徒たちは、山林の復興や被災地の人々のために使ってもらいたい、と話していた。
(2025年5月掲載)
佐賀県の龍谷高校では、自然災害被災地や地域貢献など生徒を主体にした様々な支援活動を行っている。中でもサッカー部は2019年の佐賀豪雨被災地支援の募金活動をはじめ、佐賀県立盲学校の生徒とブラインドサッカーを通しての交流などを推進。さらに生徒会もアルミ缶回収やペットボトルキャップ回収、文化発表会でのラッフルくじ募金活動などでの収益金を、熊本地震など被災地に義援金として贈っている。
2024年3月には、サッカー部が同年1月中旬より約一カ月間、能登半島地震被災者への支援協力を呼びかける募金活動を行った。
サッカー部は能登半島被災地への支援活動を継続しており、2024年度は、8月に日本青年会議所主催の被災地支援プロジェクトに、県代表として輪島市を訪問した1年生(現2年生)と共に、また生徒会も募金活動を実施。生徒の被災地への支援を訴える声に、同校生徒や教職員、保護者、市民が応え、約14万円の義援金が寄せられた。
2025年3月、同校と連携協定を結ぶ日本青年会議所佐賀ブロック協議会を通して、石川県七尾市に届けられた。同市は家屋や道路の損壊、液状化による地盤沈下など大きな被害を受け、現在も復旧作業が進められており、寄付金は、災害ボランティアの活動経費に活用される予定だ。
寄付金を託された佐賀ブロック協議会は「災害に目を向け、自主的に募金活動を始めたことに感銘を受けた」と話し、仏教の教えに基づく「心の教育」を、社会貢献という形で実践する生徒たちを高く評価していた。
(2025年5月掲載)
2025年度に創立50周年を迎える神奈川県立上溝南高校。「無限のチャレンジへ」を合言葉に、生徒は様々な課題に挑戦する意欲を育み実践している。
生物探究部の部員たちが挑戦しているのは、同校近くを流れる八瀬川に生息する「ホトケドジョウ」のモニタリング調査だ。
「ホトケドジョウ」は国と県が、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧IB類」に指定する淡水魚で、同部は2021年から観察を始め、八瀬川で採取した生物の種の特定と、重量や体長などのデータを取得。22年度には神奈川県の河川モニタリング調査の県民調査員にエントリー。県環境科学センターや専門家の協力のもと、遺伝子情報を用いた「環境DNA調査」(水や土壌などのサンプルから生物由来のDNAを抽出・分析することで、その場所に生息する生物種や量を把握できる手法)などの環境技術を活用して研究を進め、23年度からは、この環境DNAを用いて八瀬川の10地点でホトケドジョウの生息密度分析を行い、24年度は生息密度が高いと予測された地点で、採集調査を実施した。
同部はこれまでの成果を踏まえ、2024年11月「第58回全国野生生物保護活動発表大会」(主催:環境省と公益財団法人鳥類保護連盟、後援:文部科学省と林野庁)で「ホトケドジョウの保全活動〜ホトケドジョウをほっとけない!!〜」と題して発表。積み重ねたデータを生かし、研究を発展させていることなどが評価され、林野庁長官賞を受賞した。
部員たちは「他の受賞校の発表を聞いて刺激を受けた」と話し、ホトケドジョウの保全活動をさらに深め、繁殖にも挑戦したいと意欲を見せていた。
(2025年5月掲載)
岡山県立倉敷商業高校の商業研究部が、「恋」をコンセプトにしたプリン「恋するプリン」を、倉敷市の美観地区のプリン専門店と共同開発した。
美観地区の更なる活性化に取り組むプリン専門店が、若年層に喜ばれる商品を模索していたところ、同校生徒が「課題研究」として美観地区で観光ガイドのボランティア活動をしていることを知り、同校に話を持ちかけたことがきっかけ。
開発は昨年秋からスタート。商業研究部の5人の2年生(現3年生)が取り組むことになり、5人は中高生の共感を得やすく、SNSでも関心を集めそうなテーマとして「恋」を選んだ。
カカオが香るチョコプリンの甘さと、地元産「紅ほっぺ」など、新鮮なイチゴを使った甘酸っぱいジュレを組み合わせることで、恋の味を表現。さらに5人は、写真映えを考慮し、2つのプリンを合わせるとハートの形になるよう、プリンを斜めに蒸し上げてほしいと店側に要請。試行錯誤しつつ約4ヶ月かけて完成させた。
また、プリンには「恋みくじ」を添えた。「極甘」「ほの甘」「苦味」の3種類の運勢があり、「恋するあなたは素敵」「浮かれすぎないように」など計15種類のメッセージを記すなど、高校生らしいアイデアが詰まった商品となっている。
「生徒の若いプロデュース力を活かし、商品開発することで、倉敷の魅力を発信したかった」というプリン専門店の言葉に、5人は「形がない恋を商品で表現するのは難しかった」「今、恋をしている人にも、昔、恋をした人にも、たくさんのドキドキを感じてもらえれば」と話していた。
(2025年5月掲載)
大阪府立今宮工科高校は、2019年から産学連携協定を結ぶペイント会社と塗料、塗装を通じた課題解決型連携授業を実施し、地元大阪市西成区の地域課題解決を目的に、生徒が区内の美化や環境整備に貢献してきた。
2024年度においても、同区の萩之茶屋南公園のごみカゴへの「ごみの分別」を促すパネルと、同公園駐輪場の扉に「ポイ捨て禁止」を訴えるペイントアートを制作した。
さらに、同区の大きな課題となっている電化製品の「不法投棄抑止」をテーマにした壁画パネルを制作している。今宮工科高校から大阪府警西成署にイラスト制作を提案し、グラフィックデザイン系の生徒7人が取り組んだ。
モチーフにしたのは「風神雷神」。縦2・6メートル、横4メートルのプラスチック製ボードに、ギョロッとした4つの大きな目で不法投棄に睨みを利かす姿を、下部には不法投棄の文字の中央に禁止を意味するバツ印をあしらうなど、明るい色を10色以上使い、グラフィティアートの画風で色鮮やかに描いた。
2025年3月6日、同署の正面玄関横の壁に設置されたパネルの完成記念式が開催され、同校からは校長、教諭、生徒5人が出席した。同署長は「皆さんの熱意と技術が詰まった素晴らしい作品。見た人の心に響き、西成の安心安全なまちづくりにつながる契機となる」と感謝した。
「よりきれいで住みやすい街に貢献することを目指した」という生徒たち。作品は1年間掲示されることになっており、「アートを通じて、地域の方々が防犯について考えるきっかけになればうれしい」と話していた。
(2025年4月掲載)
東京都立国立高校の生徒が、地元国立市のシンボル桜並木の保全費用を賄うため、桜をイメージした入浴剤を開発、商品化した。取り組んだのは少林寺拳法部に所属する3人の2年生(現3年生)。
1年次の総合的な探究の時間で「くにたち桜守」の代表から、ボランティアで市内の約400本の桜並木を保全していること、現在は一人で面倒を見ていること、桜の苗の購入費やメンテナンス費は、自己負担であること、桜守を継承する人がいないことなどを聞いた。
桜守の活動に「自分たちに何ができるか」を考える中で、桜の入浴剤を商品化し、販売収益を寄付し、保全費用に充ててもらおうと決めた。
2024年6月、高校生対象の起業コンテスト「リアビズ高校生模擬起業グランプリ」に応募。社名は、少林寺拳法で大切な「構え」とお客様への心構えを大切にしたいという想いから付けた「カマエ」とし、「国立市の桜並木の四季を味わう入浴剤」と題する企画書を提出。同月末、参加91チームの中から一次審査を通過した6チームに選ばれた。3人は30万円の融資を元手に、桜を護る・笑顔を守る″をコンセプトに入浴剤「とこしえざくら」を400セット製造。
色や香りで桜並木の春夏秋冬をイメージした4袋入りで、価格は1250円と高めだが、3人は1ヶ月という販売期間に、国立駅や市内のスーパー銭湯、祭りの会場などに出向き、国立市内の桜並木を守り育てる「桜守」の活動の大切さを訴え、多くの賛同を得て完売。収益金約24万円は桜守活動に寄付する予定だ。
12月の最終審査でグランプリを受賞した3人は、今後はクラウドファンディングを使って、桜守の活動を支援していきたいと話していた。
(2025年4月掲載)
沖縄県那覇市の県立首里高校の生徒が、同市立石嶺図書館の中高生向けYA(ヤングアダルト)コーナーの展示を、同世代の視点でリニューアルした。
行ったのは同校の有志生徒6人で、「人が集まる図書館」をコンセプトに企画から運営まで携わった。
全国学校図書館協議会の2023年6月の調査によると、小学4〜6年生の1ヶ月の読書冊数は平均12.6冊で、2013年の10.1冊と比べると2.5冊、中学生は平均5.5冊で、10年前から1.4冊と増えているものの、高校生は平均1.9冊とほぼ横ばいで、年齢が上がるにつれて読書冊数が減少傾向にあることは変わらない。
今回のリニューアルは、同図書館が10代にもっと本を読んでもらおう、図書館をもっと利用してもらおうと、高校生ボランティアを募集し、6人が手を挙げた。
6人は企画会議で図書の選定や購入など図書館運営の基礎を学習。どんな展示方法なら10代の若者が図書館に来館するか、高校生ならではの感性と発想でアイデアを練り、提案。コーナーの壁に「首里高生が選んだ10選」として、おすすめ本の内容を書いた色とりどりのPOPや、性格診断で推奨するジャンルの紹介、手作りの日替わりクイズなどを準備。
2025年2月15日の石嶺公民館まつりに合わせて完成披露会が行われ、6人は「若い世代が楽しんで、本に興味を持ってもらえるよう」工夫したと話す。10代の来館者からは「明るくいい雰囲気、気軽に立ち寄りたい」「わかりやすいし、面白い」など、新しくなったYAコーナーの評価を聞いた生徒たちは、「初めて来たら絶対にとりこになるくらいのリニューアルになった」と笑顔で話していた。
(2025年4月掲載)
鹿児島県の南さつま地域で110有余年の歴史を誇る県立加世田高等学校。生徒たちは互いに心を合わせ、社会のために尽くす「協力奉仕」を伝統としてきた。
『南さつま飛びたて高校生事業』にも積極的に応募。同事業は、生徒たちが学校の活性化や地域の魅力発信を目的に取り組む活動を南さつま市が支援するもので、2024年度は「学校支援協力隊」と「音楽で人も地域も活性化〜メロディがつなぐ地域のきづな♪」の2グループが選ばれた。
2024年7月、有志生徒で結成された「学校支援協力隊」の活動は、小中教員の手伝いを通して、子供たちの学習や学校行事を支援するもの。
同年9月からは週2回、同市立川畑小学校の「放課後子ども教室」で、児童の宿題を見たり、交流を深める活動を実施。多忙な教員のサポートを目的に始めたもので、メンバーは児童との触れ合いを楽しみに、積極的に参加している。
2018年から始まった同小の「放課後子ども教室」は、住民が児童を見守ってきた。しかし、児童から宿題に関して難しい質問を受けることもあり、同小から高校生による学習支援を要請した。
メンバーは火曜日と金曜日の午後4時から約1時間、児童の質問に、わかりやすく指導。活動支援などにも一人ひとりに寄り添いながら対応する姿に、児童もメンバーが来るのを楽しみにしているという。
「地域や学校の役に立てれば」と語るメンバーたち。児童と触れ合う中で「学ぶことも多く、やりがいがある」と力を込めた。
(2025年4月掲載)
福岡県の純真高校は、「気品」「知性」「奉仕」の建学の精神のもと、生徒による地域や社会への貢献活動が積極的に進められている。
例年6月に開催される文化祭の模擬店の売上金を寄付する活動を続けている。2024年度は、5年ぶりに3年生による模擬店が復活して大いに賑わい、2万1380円の売り上げを得、生徒たちは修学旅行で民泊体験でお世話になる沖縄県伊江村と村民に「ありがとう」の気持ちを伝えたいと、寄付金の贈呈先に決めた。
贈呈式は、2025年2月18日、村民から「お帰り」の言葉で迎えられた入村式で開催され、訪れた2年生(現3年生)150人の生徒代表が、伊江村に目録を手渡した。
同村では「民泊体験をされた学校から寄付金を贈られるのは初めて。嬉しい気持ちが一気に込み上げてきた」と感謝していた。
伊江村の民泊の特徴は教育を目的とした「教育民泊」で、同校はこれまで9回訪問しており、生徒たちは2泊3日の滞在期間中、受入民家とのふれあいを通じて島の生活を体験。城山(ぐすくやま)登山、魚釣り体験、琉球衣装体験など、島民との交流を深めるとともに、沖縄の自然や文化、郷土料理を堪能した。
「一生の思い出になる」という生徒たち。離村する際、見送る村民の「行ってらっしゃい」の言葉に、大人になったら、また来たいと話していた。
(2025年4月掲載)