
世のため、人のために立派な行いをしている高校生達を紹介します。
高校生達の活躍を、ぜひご覧ください。
最新のニュース
■ 甘酸っぱーい恋の味 新商品「恋するプリン」をプロデュース 岡山県 倉敷商業高校 商業研究部のみなさん
■ 不法投棄✖️ 風神雷神が防止訴え 壁画パネル制作 大阪府 今宮工科高校 グラフィックデザイン系のみなさん
■ 桜の入浴剤を商品化 市のシンボル桜並木保護に収益金を寄付 東京都 国立(くにたち)高校 少林寺拳法部員のみなさん
■ 若い視点でYAコーナーをリニューアル 「人が集まる図書館」に 沖縄県 首里高校 有志生徒のみなさん
■ 多忙な教員をサポート 子供たちの放課後教室など多彩に支援活動 鹿児島県 加世田高校 学校支援協力隊のみなさん
■ 修学旅行で思い出に残る民泊体験 伊江村に感謝の寄付 福岡県 純真高校 2年生のみなさん
■ 視覚障害者と健常者をつなぐヘルプボタンを考案 優れたビジネスプランと表彰 佐賀県 早稲田佐賀高校 2年生「OctPASS」のみなさん
■ 持続可能な社会への一歩 県と協働で下水汚泥の肥料実用化へ 長野県 南安曇農業高校 生物工学科微生物活用コースのみなさん
■ 阿波の郷土料理たらいうどん 地域活性化へカボチャのオリジナル麺考案 徳島県 阿波高校 2年生「たらいうどん開発部」のみなさん
■ 春告祭「八戸えんぶり」 近代史検証、未来へ繋ぐ成果発表 青森県 八戸工業大学第二高校 2年生(現3年生)のみなさん
■ 霧で農作物を育成 節水型栽培システムの開発で、大賞受賞 青森県 名久井農業高校 環境システム科「FLORA HUNTERS」のみなさん
岡山県立倉敷商業高校の商業研究部が、「恋」をコンセプトにしたプリン「恋するプリン」を、倉敷市の美観地区のプリン専門店と共同開発した。
美観地区の更なる活性化に取り組むプリン専門店が、若年層に喜ばれる商品を模索していたところ、同校生徒が「課題研究」として美観地区で観光ガイドのボランティア活動をしていることを知り、同校に話を持ちかけたことがきっかけ。
開発は昨年秋からスタート。商業研究部の5人の2年生(現3年生)が取り組むことになり、5人は中高生の共感を得やすく、SNSでも関心を集めそうなテーマとして「恋」を選んだ。
カカオが香るチョコプリンの甘さと、地元産「紅ほっぺ」など、新鮮なイチゴを使った甘酸っぱいジュレを組み合わせることで、恋の味を表現。さらに5人は、写真映えを考慮し、2つのプリンを合わせるとハートの形になるよう、プリンを斜めに蒸し上げてほしいと店側に要請。試行錯誤しつつ約4ヶ月かけて完成させた。
また、プリンには「恋みくじ」を添えた。「極甘」「ほの甘」「苦味」の3種類の運勢があり、「恋するあなたは素敵」「浮かれすぎないように」など計15種類のメッセージを記すなど、高校生らしいアイデアが詰まった商品となっている。
「生徒の若いプロデュース力を活かし、商品開発することで、倉敷の魅力を発信したかった」というプリン専門店の言葉に、5人は「形がない恋を商品で表現するのは難しかった」「今、恋をしている人にも、昔、恋をした人にも、たくさんのドキドキを感じてもらえれば」と話していた。
(2025年5月掲載)
大阪府立今宮工科高校は、2019年から産学連携協定を結ぶペイント会社と塗料、塗装を通じた課題解決型連携授業を実施し、地元大阪市西成区の地域課題解決を目的に、生徒が区内の美化や環境整備に貢献してきた。
2024年度においても、同区の萩之茶屋南公園のごみカゴへの「ごみの分別」を促すパネルと、同公園駐輪場の扉に「ポイ捨て禁止」を訴えるペイントアートを制作した。
さらに、同区の大きな課題となっている電化製品の「不法投棄抑止」をテーマにした壁画パネルを制作している。今宮工科高校から大阪府警西成署にイラスト制作を提案し、グラフィックデザイン系の生徒7人が取り組んだ。
モチーフにしたのは「風神雷神」。縦2・6メートル、横4メートルのプラスチック製ボードに、ギョロッとした4つの大きな目で不法投棄に睨みを利かす姿を、下部には不法投棄の文字の中央に禁止を意味するバツ印をあしらうなど、明るい色を10色以上使い、グラフィティアートの画風で色鮮やかに描いた。
2025年3月6日、同署の正面玄関横の壁に設置されたパネルの完成記念式が開催され、同校からは校長、教諭、生徒5人が出席した。同署長は「皆さんの熱意と技術が詰まった素晴らしい作品。見た人の心に響き、西成の安心安全なまちづくりにつながる契機となる」と感謝した。
「よりきれいで住みやすい街に貢献することを目指した」という生徒たち。作品は1年間掲示されることになっており、「アートを通じて、地域の方々が防犯について考えるきっかけになればうれしい」と話していた。
(2025年4月掲載)
東京都立国立高校の生徒が、地元国立市のシンボル桜並木の保全費用を賄うため、桜をイメージした入浴剤を開発、商品化した。取り組んだのは少林寺拳法部に所属する3人の2年生(現3年生)。
1年次の総合的な探究の時間で「くにたち桜守」の代表から、ボランティアで市内の約400本の桜並木を保全していること、現在は一人で面倒を見ていること、桜の苗の購入費やメンテナンス費は、自己負担であること、桜守を継承する人がいないことなどを聞いた。
桜守の活動に「自分たちに何ができるか」を考える中で、桜の入浴剤を商品化し、販売収益を寄付し、保全費用に充ててもらおうと決めた。
2024年6月、高校生対象の起業コンテスト「リアビズ高校生模擬起業グランプリ」に応募。社名は、少林寺拳法で大切な「構え」とお客様への心構えを大切にしたいという想いから付けた「カマエ」とし、「国立市の桜並木の四季を味わう入浴剤」と題する企画書を提出。同月末、参加91チームの中から一次審査を通過した6チームに選ばれた。3人は30万円の融資を元手に、桜を護る・笑顔を守る″をコンセプトに入浴剤「とこしえざくら」を400セット製造。
色や香りで桜並木の春夏秋冬をイメージした4袋入りで、価格は1250円と高めだが、3人は1ヶ月という販売期間に、国立駅や市内のスーパー銭湯、祭りの会場などに出向き、国立市内の桜並木を守り育てる「桜守」の活動の大切さを訴え、多くの賛同を得て完売。収益金約24万円は桜守活動に寄付する予定だ。
12月の最終審査でグランプリを受賞した3人は、今後はクラウドファンディングを使って、桜守の活動を支援していきたいと話していた。
(2025年4月掲載)
沖縄県那覇市の県立首里高校の生徒が、同市立石嶺図書館の中高生向けYA(ヤングアダルト)コーナーの展示を、同世代の視点でリニューアルした。
行ったのは同校の有志生徒6人で、「人が集まる図書館」をコンセプトに企画から運営まで携わった。
全国学校図書館協議会の2023年6月の調査によると、小学4〜6年生の1ヶ月の読書冊数は平均12.6冊で、2013年の10.1冊と比べると2.5冊、中学生は平均5.5冊で、10年前から1.4冊と増えているものの、高校生は平均1.9冊とほぼ横ばいで、年齢が上がるにつれて読書冊数が減少傾向にあることは変わらない。
今回のリニューアルは、同図書館が10代にもっと本を読んでもらおう、図書館をもっと利用してもらおうと、高校生ボランティアを募集し、6人が手を挙げた。
6人は企画会議で図書の選定や購入など図書館運営の基礎を学習。どんな展示方法なら10代の若者が図書館に来館するか、高校生ならではの感性と発想でアイデアを練り、提案。コーナーの壁に「首里高生が選んだ10選」として、おすすめ本の内容を書いた色とりどりのPOPや、性格診断で推奨するジャンルの紹介、手作りの日替わりクイズなどを準備。
2025年2月15日の石嶺公民館まつりに合わせて完成披露会が行われ、6人は「若い世代が楽しんで、本に興味を持ってもらえるよう」工夫したと話す。10代の来館者からは「明るくいい雰囲気、気軽に立ち寄りたい」「わかりやすいし、面白い」など、新しくなったYAコーナーの評価を聞いた生徒たちは、「初めて来たら絶対にとりこになるくらいのリニューアルになった」と笑顔で話していた。
(2025年4月掲載)
鹿児島県の南さつま地域で110有余年の歴史を誇る県立加世田高等学校。生徒たちは互いに心を合わせ、社会のために尽くす「協力奉仕」を伝統としてきた。
『南さつま飛びたて高校生事業』にも積極的に応募。同事業は、生徒たちが学校の活性化や地域の魅力発信を目的に取り組む活動を南さつま市が支援するもので、2024年度は「学校支援協力隊」と「音楽で人も地域も活性化〜メロディがつなぐ地域のきづな♪」の2グループが選ばれた。
2024年7月、有志生徒で結成された「学校支援協力隊」の活動は、小中教員の手伝いを通して、子供たちの学習や学校行事を支援するもの。
同年9月からは週2回、同市立川畑小学校の「放課後子ども教室」で、児童の宿題を見たり、交流を深める活動を実施。多忙な教員のサポートを目的に始めたもので、メンバーは児童との触れ合いを楽しみに、積極的に参加している。
2018年から始まった同小の「放課後子ども教室」は、住民が児童を見守ってきた。しかし、児童から宿題に関して難しい質問を受けることもあり、同小から高校生による学習支援を要請した。
メンバーは火曜日と金曜日の午後4時から約1時間、児童の質問に、わかりやすく指導。活動支援などにも一人ひとりに寄り添いながら対応する姿に、児童もメンバーが来るのを楽しみにしているという。
「地域や学校の役に立てれば」と語るメンバーたち。児童と触れ合う中で「学ぶことも多く、やりがいがある」と力を込めた。
(2025年4月掲載)
福岡県の純真高校は、「気品」「知性」「奉仕」の建学の精神のもと、生徒による地域や社会への貢献活動が積極的に進められている。
例年6月に開催される文化祭の模擬店の売上金を寄付する活動を続けている。2024年度は、5年ぶりに3年生による模擬店が復活して大いに賑わい、2万1380円の売り上げを得、生徒たちは修学旅行で民泊体験でお世話になる沖縄県伊江村と村民に「ありがとう」の気持ちを伝えたいと、寄付金の贈呈先に決めた。
贈呈式は、2025年2月18日、村民から「お帰り」の言葉で迎えられた入村式で開催され、訪れた2年生(現3年生)150人の生徒代表が、伊江村に目録を手渡した。
同村では「民泊体験をされた学校から寄付金を贈られるのは初めて。嬉しい気持ちが一気に込み上げてきた」と感謝していた。
伊江村の民泊の特徴は教育を目的とした「教育民泊」で、同校はこれまで9回訪問しており、生徒たちは2泊3日の滞在期間中、受入民家とのふれあいを通じて島の生活を体験。城山(ぐすくやま)登山、魚釣り体験、琉球衣装体験など、島民との交流を深めるとともに、沖縄の自然や文化、郷土料理を堪能した。
「一生の思い出になる」という生徒たち。離村する際、見送る村民の「行ってらっしゃい」の言葉に、大人になったら、また来たいと話していた。
(2025年4月掲載)
早稲田大学の創立者、大隈重信が生まれた佐賀県に2010年に開校した早稲田佐賀高校。次代のリーダーシップを発揮できる人材育成を目指す同校にあって、生徒は、自ら社会の課題を設定し、オリジナリティあふれる解決方法を考案する取り組みにチャレンジしている。
2024年度は、2年生(現3年生)4人のチーム「OctPASS」が、「第12回高校生ビジネスプラン・グランプリ」で視覚障害者が、安心して生活できる環境にするためのビジネスプラン『視覚障害者と晴眼者をGENNECTするボタン』で、ベスト100と学校賞をダブル受賞した。
「高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催)は、若者ならではの自由な発想や創造力で、社会的な課題などを解決するビジネスプランを競うコンテストで、今回は過去最多の536校、プラン数5151件の応募があった。
4人は、夏休みや総合的な探究の時間を利用して、視覚障害者への聞き取り調査で「外出しにくい環境」との声があり、外出先で困った時、助けを求める声かけがしづらいからという。一方健常者からは「意思表示してもらえれば、手助けしたい」との意見があった。
そこで4人は、視覚障害者が使う白杖に「困っています」などの音声が出るヘルプボタンがあれば、健常者も応えやすいのではと考え、試作に取りかかった。
ヘルプボタンには録音機能のある玩具を活用。音声は人工知能(AI)で生成した。ボタンを押せば「困っています。お手伝いをお願いします」と周囲の健常者に声かけができる。
「受賞できて嬉しい」と喜ぶ生徒たち。案を完成させる上で、多くの人が携わってくれたと感謝し、「そのつながりを大切にし、できればビジネス化まで続けたい」と話していた。
(2025年3月掲載)
長野県南安曇農業高校の生物工学科微生物活用コースの生徒たちは、県と協働で犀川安曇野流域下水道終末処理場(アクアピア安曇野)から発生する下水汚泥を肥料として活用する実証実験に同下水道事務所と協働で取り組んでいる。
汚泥肥料とは汚泥を乾燥や粉砕、発酵させることにより肥料として再利用するもので、近年、肥料原料価格の高騰で注目されているという。
生徒が検証を始めたのは2019年から。ポットで稲の栽培試験を経て、2013年度には同校の試験田に下水汚泥を入れ、県産品種米の「風さやか」の栽培過程での効果検証試験を実施。稲の生育、米の収穫量、食味とも化成肥料と同等以上の効果があることを確認し、2024年5月、農林水産省から「アクアピア1号」として肥料登録された。
「実用化へ前進した」と語る生徒たち。さらなる進化に向け、2024年度はコシヒカリと風さやか、小麦や大豆、野菜など10品目の作物で検証。汚泥肥料、化成肥料の量など違う条件の区画や肥料をまかない区画など5区画に分けて生長を比較した。コシヒカリでは汚泥肥料200キロで収量82.7キロ、肥料なしで44.6キロ、化成肥料のみで同81.2キロと、汚泥肥料は化成肥料並みの効果があることが判明。風さやかとレタスでも成長を促す効果が得られた。
2025年度は、栽培する作物を変えて、どの作物に向いているのか、適正な汚泥の使用量などを検証するほか、重金属など有害物質が蓄積しないか土壌分析を行っていくという生徒たち。「農家が安心して使えるよう研究に努め、実用化に近づけたい」と力を込めた。
なお、同校生徒の汚泥肥料の取り組みは、2024年10月に開催された「第75回日本学校農業クラブ全国大会プロジェクト発表会」で優秀賞を獲得した。
(2025年3月掲載)
徳島県立阿波高校の生徒は「総合的な探究の時間」などで、地域の課題解決に向けた様々な取り組みを行っている。
2年生3人のチーム「たらいうどん開発部」は、地域活性化を視点に、カボチャを生地に練り込んだオリジナル「たらいうどん」を考案した。
阿波市の郷土料理「たらいうどん」。かつて林業が盛んだった頃、山仕事をする人たちの仕事納めに、大釜で茹でたうどんを大きなたらいに移し、大勢で囲んで食した振る舞い料理が始まりとされる。
3人がたらいうどんの新商品開発を企画したのは、2024年11月、総合的な探究の時間で郷土料理を生かした地域振興策を探究する中で、道の駅どなりで開催される手打ちうどん体験会に参加したのがきっかけ。地元阿波の食文化を広くPRし、地域の活性化につなげたいとオリジナルたらいうどんの開発を思い立った。
現代の若者らしく写真映えも考慮。甘味があり栄養価も高く、麺が鮮やかな黄色になることなどから、地元産野菜のカボチャを選んだ。
生徒たちは、カボチャと小麦粉、水や塩分などの量や配分などの調整や工夫を施し、納得の麺に仕上げた。「料理づくりも商品開発も初めて」という生徒たち。「家族や支えてくださった方々のおかげ」と感謝する。
2025年2月9日、3人は道の駅どなりの協力を得て、限定30食を提供するイベントを開いた。
当日は観光客らが次々と注文し、生徒が考案し調理するカボチャのたらいうどんを味わった。評判も上々で、「美味しく提供できるよう練習を積んだ」と笑顔で話す生徒たち。今回の取り組みが、阿波の独自のうどん文化を知ってもらうきっかけになればと願っていた。
(2025年3月掲載)
青森県八戸市の八戸工業大学第二高校の生徒が、地域の郷土芸能で国の重要無形民俗文化財「八戸えんぶり」の近代史について調査研究を進めている。
「八戸えんぶり」は青森冬の三大祭りのひとつ。春告祭として例年2月17日〜20日の4日間、各地域のえんぶり組が豊作を祈願する舞は圧巻で、毎年多くの観光客が訪れる。
「八戸えんぶり」の近代史の研究は、2021年度から始まった総合的な探求の時間で、当時の2年生が明治時代の中期から後期までを調査。市立図書館が管理する地元紙などから記事や資料を検索。感染症の流行や財政難、貧困や凶作などにより何度も中止されたことがわかった。生徒は3年に進級後、小論文にまとめて発表。その後は後輩たちが大正から昭和のえんぶりの歴史を探究してきた。
2024年度は、第二次世界大戦期のえんぶりについて、地域の残る古文書を新たに用いて検証。2年生(現3年生)を指導する担当教諭は「戦争という世界規模の情勢が、地域やえんぶりに与える影響を考える機会になる」と話す。調査した生徒たちは、えんぶり組の担い手が軍隊に召集されたことで人手不足となり、組の活動停止や解散につながるなど、戦争の影響は大きかったと分析する。
今回の研究成果を<近代地方新聞に見る戦時下のえんぶり><戦況の悪化とえんぶりの危機><戦後の復興>など6項目に分け、4ページのリーフレットにまとめた。
2025年2月12日、生徒たちはリーフレットを各えんぶり組や小中高校、自治体に送った。発送作業に参加した生徒は、数々の逆境を乗り越え、今のえんぶりがある。伝統を守り続けてきた先人たちに感謝し、「えんぶりを未来につなぐために頑張りたい」と力を込めた。
(2025年3月掲載)
水の惑星と呼ばれる地球。ただ国土交通省によると河川や湖沼など、人が利用しやすい淡水は地球全体のわずか0.01%で、この貴重な淡水を多く使用しているのが農業という。
そこで「節水農業」との考えから研究に取り組んだのが、青森県立名久井農業高校環境システム科の課題研究グループ「FLORA HUNTERS」の2、3年生10人。着目したのは「霧(ミスト)」。生徒たちは既成のミストを使った栽培法より簡単な栽培法に挑戦。作物の苗を、養液が入った密閉容器に根が養液に浸からないように設置し、超音波ミスト発生装置で発生させた養液のミストを定期的に作物に供給する「節水型ミスト栽培システム」を開発した。密閉しているため養液の蒸発を抑え、露地栽培や水耕栽培に比べ大幅な節水を実現し、排水も減らすことができた。
トマトでの実験では、ミストの回数を変えて噴霧し、生育に最適な回数を発見したが糖度不足だったため、光合成が盛んな日中の回数を増やし、夜間を減らしたところ平均糖度11.5度の高糖度トマトができた。水の使用量も水耕栽培の約30%で済んだという。
生徒たちは『2024日本ストックホルム青少年水大賞』で、節水型ミスト栽培システムの研究成果を発表。大賞に選ばれた。同賞は生活の質の向上及び水環境における生態系の改善に資する、優れたプロジェクトを行った高校生を対象に贈られるもので、同校の大賞受賞は5回目。同年8月の『ストックホルム青少年水大賞』の日本代表として出場し、高い評価を得た。
「水を大切に使うなど、この研究を通じて学んだことを活かしていきたい」という生徒たち。水不足が深刻な途上国で実用化できれば、と意欲を見せた。
(2025年3月掲載)