
世のため、人のために立派な行いをしている小学生・中学生達を紹介します。
子供達の活躍を、ぜひご覧ください。
最新のニュース
■ 地元特産「サラダたまねぎ」 生産からネット通販まで実践 ビジネス学ぶ 熊本県 津奈木町立津奈木小学校 全児童のみなさん
■ 自分たちで刈り取り、加工した「塩蔵ワカメ」を東京で販売 地元大槌町産をアピール 岩手県 大槌町立吉里吉里(きりきり)学園中学部 9年生のみなさん
■ 「希望を、まわせ」 地元の魅力詰めたガチャ 売り上げを市の復興へ寄付 石川県 珠洲市立大谷小中学校 5人の児童・生徒のみなさん
■ 「うとうくんクッキー」で地域の魅力PR 抜き型作り、地域の菓子店が商品化 長野県 塩尻市辰野町中学校組合立両小野中学校 うとうくんクッキーチームのみなさん
■ 3.11を忘れない 「震災の教訓」オンライン被災地交流会で次代への継承誓う 岩手県 野田村立野田中学校 生徒会執行部のみなさん
熊本県の津奈木町立津奈木小学校の児童が、地元特産の「サラダ玉ねぎ」の栽培から収穫、販売までを行う「アグリビジネスチャレンジ」という取組に挑戦している。販売まで行うようになったのは、2021年度から。
きっかけとなったのは、2020年のコロナ禍。それまで収穫したサラ玉は、被災地の小学校に贈ったり、給食などに使ったりしていたが、コロナで学校閉鎖などにより行き場を失った。サラダ玉ねぎを無駄にしないために、津奈木町役場から東京の通販会社に相談し、ネット販売をしたところ完売。購入者から学校に手紙が届くなど予想以上の反響に、この喜びを子どもたちにも体験してほしいと、津奈木町と通販会社が「児童の農業を通じたマーケティング学習に関する連携協定」を結び、本取組につながった。
2022年の3月から毎年5年生が通販会社のスタッフから「Webマーケティング」の授業を受け、ネット通販の仕組み、商品ページのキャッチコピーから写真撮影、紹介文などを制作している。
サラダ玉ねぎの栽培は、地元農家やJAの協力を得て、例年12月の苗植えから草取り、収穫、出荷まで児童みんなで実施。農薬や化学肥料をあまり使わず、健康にも環境にもやさしくおいしい安心・安全なサラ玉は、全国各地にファンがおり、毎年注文するリピーターも多いという。
4年目となる2025年は5月に全校児童で収穫を行った。出荷作業では、5、6年生がサラ玉のダンボール詰めを行い、サイズ混合の約5キロ入り300箱を用意。箱には2、3年生によるサラ玉などのかわいいイラストが描かれ、3、4年生が書いた手紙も同封する。
また今年度は地元住民にもPRしようと、初めてポスターを制作。絵を描いた児童は「おいしそうに見えるよう工夫した」と話し、みんなで作った特別なサラ玉を地元の人にも知ってほしいと願っていた。
(2025年6月掲載)
岩手県大槌町の小中一貫校「吉里吉里学園」では、小中一貫教育の柱として、「生きる力」や「ふるさと創生」を基盤とした特別の教育課程「ふるさと科」を創設。郷土愛を育む取り組みとして、郷土芸能伝承活動、地域産業体験活動や防災教育に力を入れている。
その一つが、中学部の生徒を対象にした大槌町特産のワカメ漁の体験授業。東日本大震災で養殖場が荒れた影響で、6年間中断したが、2017年2月に復活。生徒たちはワカメに関する事前学習を受けたのち、地元漁業関係者の支援を受け、吉里吉里漁港から漁船で養殖場に向かい、ワカメの刈り取り作業を実施。帰港後は集荷場で保護者と収穫したワカメを湯通しし、塩蔵作業を行った。さらに芯裂きや選別、袋詰めなどの一連の作業も生徒たちで取り組んだ。
復活当初は「三陸復興わかめ」の商品名で、修学旅行先の東京や地元で販売。大槌町に笑顔と元気を届けてきた。
2025年度も4月、9年生が東京への修学旅行での初日、銀座のいわて銀河プラザで塩蔵ワカメの販売会を開催した。「吉里吉里のわかめうまし」「このわかめ食べてみないと分かんめー」と生徒たちが考えた商品ラベルで、大槌町産塩蔵ワカメのおいしさをPR。プラザを訪れた客に、生徒たちは「いらっしゃいませ」と元気な声で呼びかけ、自分たちで製品化したことなどをアピールすると、「おいしそう」「頑張ってね」と多くの客が購入し、用意した200袋のうち175袋を販売。時間の関係で惜しくも完売できなかったが、生徒たちは「東京銀座でたくさんの人に岩手のワカメをPRできた」「地域の一員だと実感できた」と笑顔で話していた。
(2025年6月掲載)
石川県の珠洲市立大谷小中学校は、2024年1月の能登半島地震により、児童生徒数が5人になった。多くの支援を受けた子供たちは、今度は私たちにできることをと、「5人でもできる5人だからこそできる=少数盛栄」を合言葉に、地元大谷町と珠洲市の復興に役立とうと、5月「大谷ガチャプロジェクト」を立ち上げた。
カプセルにシーグラスや貝殻のアクセサリー、伝統の「揚げ浜式」製塩で作られた塩などを詰めて販売し、売上金を市に寄付することにした。
同年夏、市の親子議会で「大谷ガチャプロジェクト」について発表。市長から「とてもいいアイデア。市の道の駅すずなりで販売しては」との答弁を得た。
10月13日、道の駅すずなりに、ポップに「希望を、まわせ」の言葉を入れた「大谷ガチャ」を初設置。子供たちは、市の観光交流課提供の法被を着て、買い物客に声をかけると「ニュースで知った」という人などが次々と購入。用意した約70個を完売した。
金沢工業大学の学園祭や、9年生の修学旅行先の東京日本橋南郵便局では100個を完売。その際、匿名の女性から300万円の寄付を受けた。
翌2025年1月には、宮城県気仙沼市の「道の駅大谷(おおや)海岸」に設置。子供たちの思いに賛同した地元の人々が希望のガチャを回した。
4月17日、市庁舎を訪れた子供たちから「復興に役立てて」と、売上金23万6500円と寄付金300万円を手渡された市長は「大谷町をはじめ市全体が元気づけられる」と感謝した。
地域の方々や多くの方々の指導や支援があってここまで来られたと話す子供たち。2025年度はステッカーやキーホルダーなどを入れた「第2弾大谷ガチャ」を新開発。今後も市の復興に貢献していく考えだ。
(2025年5月掲載)
2017年、長野県塩尻市と辰野町の両小野地区をPRするキャラクターが誕生した。名前は「うとうくん」。考案したのは、塩尻市辰野町中学校組合立両小野中学校の生徒で、同地区の民話に登場する海鳥「善知鳥(うとう)」をモデルにしている。
これまでLINEスタンプやInstagramなどで広く告知する他、地域の祭りやイベント、赤い羽根募金活動など様々な場で両小野のPR活動を展開。2024年度は5人の生徒が、「うとうくん」の顔をデザインした菓子用の抜き型を考案した。地域の課題解決に取り組むアントレプレナー学習の一環で、5人は食を通して地域の魅力を広める「うとうくんクッキーチーム」を構成。学校で栽培したさつまいもを使ったクッキー作りを計画した。抜き型は昨年秋、業者にオーダーメードで作ってもらい、自分たちでクッキーを試作。学習発表会で試食した住民や保護者から好評を得たことから、同年12月、5人は両小野地区の菓子店に商品化を依頼。「食を通じて地域を盛り上げたい」という生徒の願いに応えたいと塩尻市、辰野町、小野地区の4店舗が快諾した。
各店とも生徒が提供した抜き型を使用し、クッキーの素材や味は4店舗それぞれに委ねた。
塩尻市の洋菓子店は、塩尻市の特産品青大豆の「あやみどり」を使った「あやみどり黒ゴマ味」と「塩キャラメル味」を、小野地区の菓子店はかつて養蚕で栄えた小野をイメージした「桑茶&プレーン」と「キャロブ&プレーン」など、各店こだわりの「うとうくんクッキー」を商品化。
2025年3月に発売され、地域の話題に。「商品化は学習の集大成」と語る5人は、「クッキーを通して、町内外の人に両小野やうとうを知ってもらえるとうれしい」と話していた。
(2025年5月掲載)
2025年3月9日、地震被災地の中学生をつなぐオンライン被災地交流会が開催された。NPO法人が毎年開催しているもので、参加したのは、発生から14年目を迎えた東日本大地震の被災地、岩手県野田村立野田中学校と盛岡市立渋民中学校、阪神淡路大震災被災地の兵庫県西宮市立浜脇中学校と同市立山口中学校、能登半島地震被災地の石川県七尾市立中島中学校の生徒たち。
野田中学校からは生徒会執行部6人が出席。東日本大震災の発生当時は0歳かまだ生まれていなかったという生徒たちは、村の約3分の1に当たる515棟の住戸が被害を受け、37名の命が奪われたと被害状況を説明。村唯一の中学校の生徒として、当時の先輩たちが、村を元気づけるために掲げた「村の太陽になろう」という合言葉を胸に、日々生活していると話した。
震災の翌年から始めた「創作太鼓」は、震災で亡くなった人たちを偲び、心の復興を目的としたもので、基本の譜面はあるが「創作」の言葉通り、演奏や曲解説などの表現方法は自由という。
生徒たちは「先輩の演奏を手本にしつつも、太鼓をたたく意味や、何を伝えたいかなど、自分たちで話し合いながら決めている」とアピール。動画で練習の様子も紹介した。
今では演奏を通じて地域住民に元気を届けるだけでなく、被災地との交流やイベントへの出演など、活動の幅を広げている。
参加した6人は「被災地の中学生とつながり、復興への取り組みを知ることができて勉強になった」と話し、震災の記憶の風化が懸念される中、「3.11を忘れず、地域の人たちとの関わりを大切にすることで、震災の教訓の継承に取り組んでいく」と力強く話した。
(2025年4月掲載)