
世のため、人のために立派な行いをしている高校生達を紹介します。
高校生達の活躍を、ぜひご覧ください。
最新のニュース
■ ライチョウのヒナの野生復帰へ 好物の高山植物を収穫し届ける 長野県 白馬高校 国際観光科3年生のみなさん
■ スイカの残渣を堆肥化し、イチゴ栽培に活用 環境配慮の循環農業探求 鳥取県 倉吉農業高校 生物科園芸コースのみなさん
■ 通学利用の無人駅 10年越える清掃活動に感謝状 愛知県 豊川特別支援学校本宮校舎 生徒会のみなさん
■ 80年前、豊川海軍工廠で起きた同世代の悲劇、語り継ぐ創作劇「すけっちぶっく」公演 愛知県 豊川高校 演劇部のみなさん
■ 新設の学習交流センターでみんなが笑顔になる祭、初開催 岡山県 勝山高校蒜山(ひるぜん)校地 3年生のみなさん
■ キッチンカーが町にやって来た! 地域活性化へにぎわい創出 北海道 羽幌高校 「総合的な探究の時間」官公庁(町村)班の3人の生徒たち
■ まちの魅力味わって! 特産品を考案し、試食祭開く 北海道 雄武(おうむ)高校 3年生のみなさん
■ 留学生と交流 町の観光名所「龍泉洞」を英語で案内 岩手県 岩泉高校 KIZUKIプロジェクト 観光班のみなさん
■ 10年超える支援活動 2畳敷の大凧掲げ、被災地復興願う 滋賀県 八日市南高校 地域支援活動部のみなさん
■ 規格外のさくらんぼ使ったこんにゃくゼリー 老舗専門店と商品化 山形県 山形学院高校 調理科のみなさん
■ SDGsな食材、コオロギを活用 食利用と新たな産業創出目指す 千葉県 多古高校 生物部のみなさん
■ 廃棄繊維「耳」を再利用し、ふわふわ織物「みみふぁ」創作 特別賞受賞 群馬県 桐生工業高校 染織デザイン部のみなさん
■ 防災食にも レトルトのトマトカレー開発 三沢空港で試食販売会開く 青森県 三本木農業恵拓高校 食品科学科3年生のみなさん
■ カプセルトイで地域盛り上げ 第1弾は「歴代の制服」を企画、商品化 群馬県 桐生第一高校 生徒会のみなさん
■ 同じ日の朝、二つの人助け 他者を思いやる心、行動に 愛知県 豊川高校 女子ソフトボール部 男子バスケットボール部のみなさん
環境省が中央アルプスで進める、国の特別天然記念物で絶滅危惧種のニホンライチョウ復活と野生復帰事業について学ぼうと、2025年7月23日、長野県の高校生が、ヒナのエサの高山植物を収穫する体験学習を実施した。長野県白馬高校国際観光科3年生12人で、選択授業「観光とまちづくり」の一環。
当日生徒たちは、標高1515mに位置し、300種以上、約200万株の多種多様な高山植物を栽培する白馬五竜高山植物園を訪問。同園がヒナの食草用として育成するタデ科の植物「ムカゴトラノオ」を刈り取った。「ムカゴトラノオ」は葉や実が柔らかくヒナの好物という。
その後生徒たちは、現在、3羽のヒナを育てる大町市立大町山岳博物館に向かい、ライチョウ担当の学芸員に、収穫した約60本を手渡した。
今後、同博物館の他、ライチョウ保護増殖事業に参加している長野市茶臼山動物園、那須どうぶつ王国、いしかわ動物園に送られ、ヒナたちのエサとして活用される。
高山植物には毒を含むものがあるため、ライチョウは解毒のための腸内細菌を有している。しかし、ヒナにはないことから、同博物館では野生種と同様の腸内環境に整えるため、野生のライチョウのフンから作った粉末を与えているという。
「初めて知ることも多く、勉強になった」という生徒たち。実際にライチョウや高山植物を見たことで、地元の観光を支えている自然について学ぶことができたと話し、今後の学びに活かしていきたいと意欲を見せていた。
なお、ヒナの野生復帰は9月に2回に分けて実施され、成鳥と合わせて計20羽が駒ヶ岳頂上山荘周辺で放鳥された。
(2025年9月掲載)
1885年開校の鳥取県立倉吉農業高等学校。140年の歴史に培われた農業教育を通して、生徒たちは知と技の習得に努め、地域社会に貢献できる人材となるべく挑戦を続けている。
「農業」の新たな可能性を切り開くべく、現在、新たに進めているプロジェクトが、スイカのつるや葉、規格外の実などの残渣を堆肥化し、イチゴを育てる「スイカとイチゴで循環農業〜地球温暖化に歯止めをかける優しい農業の探求〜」。
生物科園芸コースの3年生が3年前からチャレンジしている課題研究。これまで廃棄していたスイカ残渣を、SDGs(持続可能な開発目標)の観点から活用して堆肥化し、スイカ栽培後に定植時期を迎えるイチゴ栽培に使うことで循環農業を推進する取り組みだ。
生徒によると、同校のスイカ栽培の園地約160平方メートルから出る残渣は、約1.5トンにもなる。これを1箇所に集め、米糠を混ぜ合わせると1ヶ月弱で堆肥に。全国有数のスイカ産地、鳥取県全体での残渣は膨大な量になると推測され、堆肥として再利用すれば環境に配慮した農業につながると、生徒たち。サラダ水菜に使用した実験では、草丈や葉の数などは通常使う牛ふんを上回り、食味も良好だったという。
イチゴ栽培での実験もすでに進行中で、将来的には環境配慮のイチゴとして、ブランド化したい考えだ。
同プロジェクトは「令和7年度とっとり夢プロジェクト事業」の支援を受けており、生徒たちは、コストの安いスイカ残渣を堆肥にすることで、化学肥料の使用を減らし、温室効果ガスの低減も期待され、社会貢献にもつながっていくと、力を込めた。
(2025年9月掲載)
「よいことは進んでやろう」を校訓の一つとする愛知県立豊川特別支援学校本宮校舎。生徒たちも、校内での活動はもとより、近隣の大木公民館の窓清掃や福祉施設などでのボランティア体験など、自分たちでできる様々な地域貢献活動を展開している。
2012年から実施しているのが、生徒の大半が通学に利用するJR飯田線の無人駅「三河一宮駅」の清掃活動。1897年開業の同駅は、三河国一宮の砥鹿(とが)神社参拝の下車駅で、1990年、同神社の本殿をイメージした駅舎に改修された。
生徒たちは例年2回、日々利用する同駅を、感謝を込めて清掃しており、2025年度も7月に実施。生徒会執行部の生徒を中心に、ホームやトイレを掃き清め、学校で育てたチューリップを駅構内に並べた。
先輩から後輩へ、14年にわたり受け継がれてきた生徒会の三河一宮駅清掃活動に、「豊川駅」駅長から感謝状と記念品が贈られた。
7月22日、同校で行われた贈呈式で豊川駅長の「みなさんのおかげで、ごみひとつない駅になっています」との言葉に、生徒会の代表は、多くの人が気持ちよく駅を利用してくれると嬉しいと話し、今後も駅清掃をはじめ、地域に貢献する活動を積極的に取り組んでいきたいと意欲を見せていた。
(2025年9月掲載)
2025年8月7日、愛知県豊川市の豊川高校演劇部が市主催の「豊川海軍工廠被曝80年 令和7年度平和祈念式典」で、出席した1250人に創作劇『すけっちぶっく』を披露した。1945年8月7日の空襲で豊川高校の生徒6名も含め、2500人以上の犠牲者を出した豊川海軍工廠で働き、犠牲となった女学生が主人公のこの作品は、2020年、当時の部員と顧問が「同世代の悲劇を風化させたくない」と創作。毎年夏に上演を行ってきた。
同校では毎年8月7日を登校日と定め、哀悼と恒久平和を祈念する追悼式を開催している。
平和を祈る心で創作された『すけっちぶっく』。絵を描くことが大好きな主人公は、友人2人と紙芝居を作るささやかな日々を送っていたが、悲劇の日8月7日が訪れる。物語は、生き残った女性が現代の子供たちに語り継ぐ中で、現実と当時の出来事が交錯し、やがて現代と過去がつながる瞬間が…。
部員たちは、直接体験者から話を聞いたり、海軍工廠跡地を訪れたことで「貴重な発見や気づきがあった。この経験を劇に活かしたい」と話す。
公演当日、21名の部員は音響、照明も含め、一丸となって平和への思いを込めて熱演。脚本は毎年改訂を重ね、今年は「現代を生きる私たちへのメッセージ」がより鮮明になったという。
劇中で女子生徒が涙ながらに叫ぶ「私たちが語り継ぎます!平和になるまで!」の台詞に、観客は「劇中の人物と、演劇部のみなさんの年齢が一緒なので、より深くメッセージが伝わった」と語り、80代の観客は、作品を通して「若い世代が語り継いでくれて頼もしい」と話していた。
(2025年9月掲載)
2025年4月、岡山県立勝山高校蒜山校地の前に、真庭市学習交流センター(三座館)がオープンした。遠方から入学する生徒の寮として、地域住民や小中高生の交流施設でもある同館で、初めてのイベントが7月12日に開催された。
「ひるこう祭〜みんなあつまれ!三座館〜」。3年生22人が三座館や同校の魅力を広く知ってもらおうと企画したもので、実行委員の生徒は「来場したみんなが笑顔になる祭りにしたい」と意気込んだ。
同校は「失敗する学校」をキャッチフレーズに、生徒の「やりたいを応援する高校」として注目され、「自分たちが考えてきたことが形になっていくのが楽しい」という生徒たち。春から準備を進め、実行委員は地元企業や事業所などを訪問し、協賛やポスター掲示などを依頼したほか、メディアなどへの告知や取材依頼も行った。
そして「ひるこう祭」当日、生徒たちは地元産品を使ったキッシュや焼きそば、イギリスの伝統菓子、ウェルシュケーキを手作りし、来場者をおもてなし。舞台ではブラスバンド部の演奏、蒜山のみに生息する絶滅危惧種「フサヒゲルリカミキリ」の保護活動に関して、自然班の生徒が成果発表を行った。
「水かけ祭」では子供たちが水鉄砲を手におおはしゃぎ。5月の連休中に植えたひまわりの迷路は高さが足りず失敗したものの、目標の来場者数600人を達成。「地域のためにやりたいことを詰め込んだイベント」という生徒たち。学校と三座館についてアピールできたと思うと手応えを感じた様子で、小中学生が進路を考える時に、「ひるこう(蒜校)」を選んでくれるようになればうれしい、と話していた。
(2025年8月掲載)
北海道羽幌町に2025年7月14日と22日、相次いでキッチンカーがやってきた。14日は大手牛丼チェーン、22日は札幌市の人気パン店で、誘致したのは北海道羽幌高校の3人の2年生。
3人は「総合的な探求の時間」で、官公庁(町村)班に所属。地域の課題発見と解決策を模索する中で、町の活性化と若者の流出を防ぐには「にぎわい」と「雇用の創出」が必要と考えた。そして近年、地域のにぎわいのベースとなる飲食店が減少していることを知り、キッチンカーの誘致を思いついた。
全生徒対象にした「学校にキッチンカーが来て欲しいか」とのアンケートに、約9割が賛成と回答。力を得た3人は、飲食業界の中でキッチンカーの派遣をしている企業について調査。自分たちの企画を記したメールを送るなどして交渉を進めた結果、「高校生の行動力に感銘を受けた」と牛丼チェーンとパン店が応諾した。
7月14日の昼休み、大手牛丼チェーンのキッチンカーが同校に到着。「めちゃくちゃ楽しみにしていた」という生徒たちが列を作り、牛丼を愉しんだ。全生徒の約8割が利用したという。
22日、羽幌町初出店のパン店のキッチンカーには、人気の 「ちくわパン」 や「シナモンロール」、羽幌町の特産品、甘エビやタコを使ったコラボパンなど16種が並び、生徒もエプロンをつけて手伝った。「すごい行列で1時間で完売した」「来てもらえて嬉しかった」と笑顔に。
キッチンカーは町内でも出店し、大盛況。企業側は「採算は度外視」「町の人たちが、笑顔になってくれれば」と言い、3人は「想像以上の反響でびっくりした」「やってよかった」と充実の表情で話していた。
(2025年8月掲載)
北海道雄武高校では、総合的な探究の時間を「おうむ学」として、3年間を通して取り組んでいる。その中で2年生が探究するのは「特産品開発プロジェクト」。雄武町の魅力を伝える物づくりをと、地元の食材を生かした商品開発に力を入れている。
2025年6月12日、3年生21人が自分たちの「おうむ学」の総仕上げとして、2年次から1年かけて開発した特産品の「試食祭」を、道の駅おうむで実施した。
生徒が提供したのは、ホタテを原料にした「ほたてせんべい」と、作付け面積日本一の韃靼(だったん)そばを、初めてラーメンに使った「だったんラーメン」の2種。
「ほたてせんべい」は町の水産加工会社の、「だったんラーメン」は農業生産法人の協力で商品開発を進めた。
当日は、一枚一枚丁寧に手焼きした「ほたてせんべい」130枚、韃靼そば粉20%を使った「だったんラーメン」120食を用意し、会場内にはこれまでの活動をまとめた掲示物も準備した。
生徒たちの元気な呼びかけに、住民や観光客など多くの人々が訪れ、「ほたてせんべい」を試食した来場者からは、素材のホタテの味が生かされている。お土産に買って帰りたい、などの声が。また「だったんラーメン」は、初めて食べる食感。塩味のスープもホタテの味がしっかりしていると好評だった。
生徒を支える町の担当者は、「雄武が感じられてすごくおいしい。町への思いや盛り上げたいという気持ちが、特産品開発にいい形でつながっていると思う」と絶賛。「試食祭で商品の魅力が多くの人に伝わればうれしい」と話す生徒たち。水産加工会社が商品化した「ほたてせんべい」に続き、「だったんラーメン」もアンケートや企業の声を聞いて商品化し、雄武の魅力を味わう新たな特産品として、道内外に広めたいと力を込めた。
(2025年8月掲載)
1943年開校の岩手県立岩泉高等学校。「地域に支えられ、地域を支える」学校づくりを目指して、地域のイベント活動に郷土芸能同好会や有志ボランティアが参加するなど、多彩な地域貢献活動を展開している。
2025年も6月18・19日の両日、同校生徒は岩泉町の姉妹都市、米ウィスコンシン州デルズ市の留学生と交流。18日は郷土芸能の中野七頭舞と弓道を披露した後、「KIZUKIプロジェクト」観光班の生徒が、日本三大鍾乳洞の一つ「龍泉洞」を英語で案内した。
「KIZUKIプロジェクト」は同校の特色ある教育活動で、1・2年生は観光、防災、政策、文化、広報、経済、福祉の7分野に分かれ、地域課題の解決に向けた実践活動を、3年生は進路を土台とし、社会課題の解決に向けた探究活動を行っている。
「龍泉洞」は、同町のシンボル宇霊羅山の麓から龍が飛び出し、泉が湧き出て誕生したと伝えられ、国の史跡名勝天然記念物に指定されている。
観光班は、今回のガイドにあたり、事前に龍泉洞について調査。歴史や伝承、魅力などを英訳し、英語で案内できるよう練習を重ねた。
洞内部で生徒たちは、留学生たちに、一口飲むと3年長生きするという長命の泉や鍾乳石、亀岩、展望台から深い青色に輝く地底湖の眺めなどを巡りながら、説明。留学生の「鍾乳洞の歴史が興味深く楽しかった」「岩泉のことをとても気にいった」との言葉に、笑顔の生徒たち。「英語を使い、留学生と交流してみて、想像以上にうれしかった」と話し、地元の観光業がもっと盛り上がるよう探究学習を続け、「英語の勉強にも力を入れていきたい」と意欲を見せた。
(2025年8月掲載)
滋賀県立八日市南高校の地域支援活動部は、発足後から地域での支援活動を中心とした様々なボランティア活動を進めてきた。2012年からは、夏休みに東日本大地震の被災地、東北でのボランティア活動を実践する中で、人と人、人と地域のつながりの大切さ、命の大切さなどを学んできた。現在では「地域の方々とのつながりを大切にする活動」「震災を風化させない活動」「防災の啓発活動」を中心に取り組んでいる。
被災地復興を願う募金活動、現地高校生との交流、地元保育園などに訪問し、園児に防災啓発の芝居を披露するなど、多彩な活動を展開している。
2014年から始まった伝統の「復興支援2畳凧」の飛揚もその一つ。これまで東日本大震災を風化させない取り組みとして継続してきた。
2024年、2025年は、地震と集中豪雨で多大な被害を受けた能登半島の復興を願って、大凧を掲げた。
2025年は、交流を続けている輪島高校の生徒との意見交換で、主題となる図柄を、1日も早い復興が叶うよう「翼」の文字を描くことにした。また、大きく羽ばたく孔雀の左の翼は、全国の人々が能登半島に支援の手を差し伸べる、人の腕と手のひらのように描かれている。また、凧の裏には同校をはじめ輪島高校、東北や近隣の高校の生徒が、復興を願う言葉を記した「願い札」が貼られている。
春から製作に取り掛かり完成した「復興支援2畳凧」。7月18日の終業式後、同校グラウンドで部員たちにひかれ、南風に乗って空高く飛翔した。
「楽しかった」という部員たち。大凧の鳥と翼の文字に込められた「復興への思い、能登半島に届いたと信じています」と力を込めた。
(2025年8月掲載)
2024年、山形県山形市の山形学院高校調理科の生徒と、同県上山市の老舗こんにゃく専門店が協力し、規格外のさくらんぼを使った「さくらんぼこんにゃくゼリー」を開発。同年6月に数量限定で販売したところ、「さくらんぼをそのまま食べてるようで、おいしい」「また販売して」との声が多数寄せられるほど、好評だった。
2023年、「さくらんぼの商品は何回かトライしたが、上手くできなかった」という専門店側が、規格外の「佐藤錦」を活用できないかと同校に持ちかけたのがきっかけ。この時は、さくらんぼらしい赤色がうまく再現できず、商品化は断念した。
だが、生徒たちは諦めなかった。試作を重ねる中で、皮も果肉も赤い「紅さやか」なら色鮮やかな赤色が出せることを発見。生徒たちは天童市のさくらんぼ農家から規格外の「紅さやか」を分けてもらい、1粒ずつ手作業でタネを取り除き、コンポートに仕上げた。専門店は「この材料があったからこそ」と商品化に踏み切り、「さくらんぼこんにゃくゼリー」が完成した。チェキ風のパッケージデザインも生徒が手がけた。
2025年6月、消費者のリクエストに応え、販売個数を2000個に増やして限定販売された。24日には調理科の生徒4人が山形市の観光物産館「ぐっと山形」で試食販売会を実施。「さくらんぼの味がして美味しかった」「買って行く」と今回も大好評。生産量日本一のさくらんぼと、消費量日本一のこんにゃくを組み合わせたゼリー。「山形ならではのお土産、県内外の人にも食べてほしい」という生徒たち。販売会後は、さくらんぼ農家に商品を届けた。とても喜んでくれたと、笑顔で話していた。
(2025年8月掲載)
千葉県立多古高校の生物部は、2023年から地元多古町や企業、大学と協力し、「食用コオロギを活用した総合的SDGs体験教育カリキュラム創りプロジェクト」を展開している。
同プロジェクトで、部員たちは残菜や地元産の米ぬかなどをエサに食用としてのコオロギを飼育。この取り組みを多古町の住民にも知ってもらおうと、2023年11月、家政部と地元のイベントでコオロギパウダー入りクレープの試食体験会を実施。開始から10分ほどで用意した分の配布が終了という盛況ぶりで、自信を深めたという部員たち。2024年度は6月からスタート。2025年の大阪・関西万博でのプロジェクト発表が決まっており、部員たちはコオロギの飼育のほか、昆虫食通販サイト会社のスタッフから昆虫食のパワーと魅力、ビジネスとして取り組みを学ぶなどして、昆虫食の価値と可能性についての知識を深めた。
2025年6月7日、部員たちは大阪・関西万博の会場で、これまでの取り組みの成果を発表。来場者に、コオロギが高タンパク質で必須アミノ酸やミネラルが豊富なうえ、育てる際のエネルギー消費も少ない食材として注目されていることなどを紹介した。また飼育箱の中の生きたコオロギを捕まえる体験会は、子供たちの大人気に。
また、多古町の和菓子店の協力で製造したコオロギパウダー入りのまんじゅうを配布。当プロジェクトの意義を聞いてから受け取る来場者が多く、部員たちは「万博で紹介する機会をもらえてよかった」と感謝。食用コオロギの研究を深めるとともに、未来を担う子どもへのSDGs学習や、食利用以外の新たな産業創出の可能性も見つけていきたいと話していた。
(2025年7月掲載)
群馬県立桐生工業高校の染織デザイン部の部員4人が、『ジャパン・ハンドメイド・オブ・ザ・イヤー2025』(主催・日本ホビー協会)で、選考委員会特別賞を受賞した。
『ジャパン・ハンドメイド・オブ・ザ・イヤー』は、「ハンドメイド」の商品・サービス、作品、活動を対象としたコンテストで、今回、「織物業界の廃棄問題に着目し、新たな価値を創造した」「持続可能な社会の実現に向けた素晴らしい取り組み」と、絶賛された4人の作品は、織物の生産過程で切り落とされる「耳」部分を再利用し、ふわふわの織物として生まれ変わらせた「みみふぁ」。
2024年秋、4人は桐生市の業者から譲り受けた「耳」から、新たな織物を生み出そうと試行錯誤を重ねる中で、バッグの製作を思いついた。
4人は、色や素材が異なる「耳」を組み合わせ、多様なデザイン、多彩な風合いのショルダーバッグ6種を創作。2025年1月、同コンテストの個人・グループ部門の「高校生の部」に出品したところ、選考委員会より、桐生市の高校生たちがこのプロジェクトを主導している点が、未来のクリエイターの育成にもつながる意義深いポイントと、高く評価され、「一般の部」上位3賞に次ぐ賞として、今回特別に設けた「選考委員会特別賞」を授与されることになった。
選考委員からは、「「耳」を再利用するアイデアは、単なるアップサイクルにとどまらず、新たなデザインの可能性を広げた」「織物の伝統を継承しながら、新たな表現を生み出す姿勢が素晴らしい」と賛辞の言葉が贈られた。
4月17日、東京での授賞式で4人は、「自分たちが考えて作ったものが評価されてうれしい」と語り、「これからも、地域と共にある活動を頑張っていきたい」と力を込めた。
(2025年7月掲載)
青森県立三本木農業恵拓高校では、生徒たちが地域活性化の一環として、地元食材を使った「防災食」の開発に力を入れている。
2025年度は、食品科学科の3年生8人が課題研究の一環として、避難生活時の栄養不足を補い、美味しく食べられるレトルト食品「三農トマトカレー」を開発した。
着手したのは2024年4月。8人は、同校家庭クラブと地元野菜たっぷりのレトルトスープ「さんのうころとろ豆乳スープ」を商品化した食品加工会社(五戸町)と協力し、開発を進めた。
トマトは、植物科学科が栽培している「りんか」の規格外品を活用。りんかは果肉は硬めながら、ジューシーな食感と高糖度でコクのある味が特徴だ。
生徒たちはりんかを使ったレトルトカレーの開発を進める中で、2025年4月、十和田市危機管理防災室から講師を招き、防災食の課題などを学習。アレルギーなど安全にも配慮した、甘口で老若男女が楽しめる「三農トマトカレー」を完成させた。パッケージには、生徒が考案した食品科学科のマスコットキャラクター「さんのうけいたくん」をあしらった。
生徒たちは5月24・25日は三沢空港で、6月7日は道の駅とわだで試食販売会を実施。利用客に、愛情込めた甘酸っぱいカレーを召し上がれと呼びかけると、小さな子供から大人まで「美味しい」と好評。
「トマトの酸味と甘みを感じられる味のバランスがうまくいった」「ローリングストック可能な防災食としても活用してほしい」という生徒たち。試食会でのアンケートをもとに、今後も改良していくと意気込みを見せていた。
(2025年7月掲載)
群馬県桐生市にある桐生第一高校の生徒たちが、同県前橋市でカプセルトイなどを手掛ける企業と協力し、「桐生第一高校カプセルトイプロジェクト」をスタートさせた。
この取り組みは、企業から「高校生のアイデアで地域を盛り上げよう」との提案があったことがきっかけ。建学の精神に「社会に出て役立つ人間の育成」を掲げる同校がこの提案を快諾し、実現に至った。
プロジェクトでは、学校の魅力を発信するカプセルトイ「キリイチカプセル」を生徒主体で開発。2026年3月までの約1年で、第3弾までの商品化を予定している。
プロジェクトの中心を担うのは生徒会の役員7人。2025年2月ごろからアイデアを出し合い、第1弾として、同校の歴代制服をモチーフにしたキーホルダーを企画した。昭和初期の女学校時代のセーラー服から、平成時代の男女の制服、体操着まで全9種類をラインナップ。さらに激レアアイテムとして、桐生市のマスコットキャラクター「キノピー」が現在の制服を着たキーホルダーも考案された。
生徒たちは、「在校生には新鮮さを、卒業生には懐かしさを感じてもらえるアイテム」と語り、「制服を学校を象徴するわかりやすいアイテム」と捉えて企画を進めた。
商品は6月中旬から、同校の来賓用玄関や東武鉄道「新桐生駅」、JR「高崎駅」のほか、コラボ企業の店舗で発売されており、好評を博している。
企業とのコラボは初めての経験だったが、生徒たちは「自分たちのアイデアが形になり、完成品を手にしたときは感動した」「キリイチカプセルで、桐生市を盛り上げていきたい」と話し、第2弾・第3弾の開発にも意欲を見せている。
(2025年7月掲載)
2025年6月17日の朝、愛知県豊川市の豊川高校の生徒が、2つの現場で体調を崩した人に手を差し伸べ、回復に努めた。
この日、朝から30度近い暑さに見舞われた豊川市。
JR豊川駅にいた女子ソフトボール部の1年生部員5人は、駅員が熱中症で倒れる現場に遭遇。5人はすぐに駆け寄り、駅員の様子を見るなどして状況を判断。持っていた保冷剤を駅員の首筋に当てるなどの応急処置を施し、救急車の到着を待った。日頃の部活で培ったチームワークがあったから、咄嗟の行動ができたという生徒たち。後日、同駅の職員から連絡があり、駅員の無事と感謝の言葉が贈られ、安堵の笑顔を見せていた。
また、男子バスケットボール部員4人は、同校そばのスクランブル交差点で、倒れた自転車の近くで高齢の男性が座り込んでいるのを見つけ、駆け寄った。怪我もしている様子で、4人は「大丈夫ですか」と声かけしながら男性に寄り添った。やがて男性は起き上がり、生徒が起こしておいた自転車を押して歩き始めた。4人はその姿を見守ったのち、登校した。
後日、80歳の男性から同校に「生徒さんたちに助けられたことが嬉しくて」と感謝の電話があった。怪我もかすり傷程度だったそうで、生徒たちは「良かった」とホッとした様子だった。
同校は、曹洞宗の「心の教育」を実践しており、その基準、規範となるのが「和敬」(相手を敬う心)、「信愛」(相互に認め合う心)、「利他」(他者を思いやる心)、「報恩」(すべてに感謝する心)の校訓の精神。同校の職員は日常の中で体現してくれた生徒たちを誇りに思うと語り、これからも誰かのために行動できる生徒であってほしいと話していた。
(2025年7月掲載)