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大分県の西部、九州第一の河川、筑後川の上流に位置する玖珠町。「日本のアンデルセン」と呼ばれた童話作家の久留島武彦の生誕地であり、また、毎年5月に「日本童話祭」を開催するなど、「童話の里」のまちづくりをめざす同町に、県立玖珠農業高校がある。 1911(明治44)年に創立した同校は「大地に心豊かな人生を」をスクールテーマに、生きものを育てることを通して心豊かな人間を育成する教育を基本としている。“農業を学ぶ、農業で学ぶ”農業教育を進める中で、環境教育にも力を注いでいる。 生徒も日々の学びの中で地域の環境問題に強い関心を持っており、10月12日にはその取り組みの一つとして、3年生約70人が、ラムサール条約に登録されている九重町飯田高原のタデ原湿原で、オオハンゴンソウなどの外来植物の駆除作業を行った。 タデ原湿原は、くじゅう連山の長者原登山口そばに広がる約38ヘクタール。「近い将来、絶滅の恐れがある」と環境省のレッドデータブックで絶滅危惧IB類に分類されているヒゴタイやツクシフウロが自生しており、2005年、国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録された。 しかし、この頃から湿原には北米原産のオオハンゴンソウやセイタカアワダチソウなどの外来種の繁殖が目立ちはじめ、在来種のヒゴタイやヒメユリのような希少植物の植生が脅かされてきた。 玖珠農業高校では、くじゅう連山でのミヤマキリシマの保護活動や外来種調査に取り組んでおり、「卒業記念としてタデ原湿原の外来種を駆除し、在来の貴重な高原植物を守ろう」と、3年生全員が参加する駆除活動を初めて実施した。 地元の高校生とはいえ、「タデ原湿原に来たのは初めて」という生徒もおり、一面に広がるススキの穂が秋の日差しに白く輝く中に、リンドウやヤマラッキョウなどの花々が咲くこの湿原を見て、“ここを守らなくては”の意識を強く感じた様子。 生徒らは、くじゅう自然保護事務所の職員の指導を受けながら作業を行った。オオハンゴンソウは、毎年夏時期に開花しているものを中心にボランティアが根からの引き抜き作業を行っている。今回は、その駆除活動後に、残った根から新たに芽を出したオオハンゴンソウを、生徒は根を取り残さないようにシャベルや熊手で土ごと掘り起こして次々に抜き取った。約3時間で、除去した草は軽トラック1台分になった。 参加した生徒は「根がほかの植物と絡み合っていて除去するのが難しかった。2グラムの根が残っただけで、再び生えてくると聞いて、外来種の怖さを感じた」「オオハンゴンソウの繁殖力の強さに驚いた。きれいに抜いて、外来種のない湿原にしたい」と話していた。 同校では、今回の3年生の活動を引き継ぎ、今後年に1回程度、タデ原湿原の外来種駆除活動を実施していく予定という。 |
| (2010年12月) |

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