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香川県下で有数の伝統校として知られる県立多度津高校。2011(平成23)年に創立90周年を迎える同校は、生徒を主体に、普段の学びを生かした地域交流、地域貢献を伝統としてきた。 近隣の多度津幼稚園や豊原小学校、多度津小学校との交流、特別養護老人ホーム桃陵苑に対するボランティア活動、エコスクール委員会を中心にしたアルミ缶回収で同老人ホームへの車いすの寄贈など、その取り組みは多岐にわたっている。 2009年12月4日には、長年交流を続けている善通寺養護学校(香川県善通寺市)に、電気科3年の5人の生徒が、“身体の不自由な子供たちに遊んでもらおう”と、自分たちで製作した電動式の紙相撲の装置「ドンドコ紙相撲」(第65回香川の発明くふう展で日本弁理士会会長奨励賞を受賞)を贈呈した。 「ドンドコ紙相撲」の製作は、両校が連携して実施する電気機器教材の開発の一環。重度の障害がある子どもたちの活動の幅を広げることが目標で、08年には車いすの補助駆動装置(09年度高校生技術・アイデアコンテスト全国大会で理事長特別賞を受賞)をプレゼントしている。 09年度のテーマは「音とコミュニケーション」。今回の電動式紙相撲の製作は、昨年6月に電気科の生徒が課題研究の授業で作った“障害者用押しボタンスイッチと接続して電気製品を入切する装置”を贈った際、この装置を利用した紙相撲で子供たちと楽しんだのが、きっかけとなった。 一般の紙相撲は、土俵上の力士のまわりを手でたたいて勝負を決めるが、「ドンドコ紙相撲」は、スイッチに触れると土俵の脇に取り付けた器具が動いて水平方向の振動が発生。また、「はっけよい、のこった」の掛け声など音楽データを記録できるプレーヤーとつなぎ、土俵下のスピーカーから音を出すことで、垂直方向にも振動する仕組み。製作に参加した生徒は「以前、紙相撲したときは、土俵を振動させるだけの装置だったが、子供たちをはじめ誰でも楽しんでもらえるよう、横からたたくようにして相撲ができるようにした」と話す。 そして、11月13日にこの「ドンドコ紙相撲」で、同養護学校の小学部の児童と交流。子供たちが、土俵上で小刻みに動き回る“紙力士”や装置から流れる音声などに反応して歓声を上げたり、大喜びで遊んでくれたこともあって、プレゼントすることになった。 12月4日は、製作した電気科の生徒5人が同養護学校を訪問。迎えてくれた小学部の児童7人に「ドンドコ紙相撲」を手渡した。子供たちは早速、手元のスイッチ一つで土俵をふるわせて熱戦を楽しんだ。 生徒もスイッチを押しやすいよう子供たちの手を取るなどして参加。「手足を自由に動かすことのできない子供たちのために作った「ドンドコ紙相撲」で、夢中になって遊んでいるのを見て嬉しかった」「人の役立つ物を作るプロジェクトに参加でき、本当に良かった」と笑顔で話していた。
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| (2010年1月) |

 古くから天然の良港として、また交通の要衝として明治期、四国で初めて鉄道が敷かれた香川県多度津町に、県立多度津高校がある。「清明強和」を校訓とする同校の生徒は、開校以来80年を超える歴史に培われた校風と伝統に則り、社会の担い手としての勤労観・職業観と共に社会奉仕の精神を育んでいる。 今年の1学期には、電気科の4人の2年生が、重度の障害がある子どもたちにも車いすで行動する楽しさを知ってもらおうと、車いすの補助駆動装置を完成させた。 このプロジェクトがスタートしたのは、昨年のこと。当時機械科3年生の生徒が課題研究の一環で補助駆動装置の製作に取り組み、彼らが卒業後、現在の電気科2年生の4人が受け継いだ。 この補助駆動装置は、駆動する前輪1輪と駆動しない後輪2輪があり、後輪の上に車いすの前輪を取り付けて利用する。一般の電動車いすは、コントロール用のスティックを操作して移動させるが、生徒が考案した補助駆動装置は、手元に設置したボタンを押すことで走行や停止などの操作が行える。そのため、からだをほとんど動かせない重度の障害児も、自分の意志で操縦し、介助者の手を借りることなく車いすでの移動を楽しむことができるという。 「子どもたちの喜んでくれる顔を思い浮かべながら取り組んだ」という4人が担当したのは、電気回路やフレーム部分の製作。試行錯誤を重ね、何度もテストを繰り返し、この6月に完成させた。 そして7月1日、4人の生徒は善通寺市の善通寺養護学校を訪問。卒業した機械科生徒の想いも込めて、補助駆動装置を養護学校の代表に手渡した。贈呈式終了後、補助駆動装置を車いすに取り付け、養護学校の子どもたちが試験走行を楽しんでいた。 多度津高校の生徒が製作した補助駆動装置は、バッテリーを除いて廃材などを材料にしている。資源の有効利用、そして社会福祉への貢献につながる今回のプロジェクト。それは、同校生徒の伝統でもある自分で学び、考え、夢に向かって行動するチャレンジスピリッツが、大いに発揮された証といえるだろう。 |
| (2008年7月) |
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