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2010年に政令指定都市をめざす神奈川県相模原市に、1923年(大正12年)に開校した県立相原高校がある。同校は、学校生活を通して、自他を敬愛し、豊かな個性と自主的精神に充ちた国家社会に有為な形成者となる人材育成に努めており、生徒も、普段の学習に加え、地域、環境、食育等、今後の社会の在り方を考えた貢献活動に積極的に取り組んでいる。 地域のリサイクルセンターをめざして、地元小学校の給食残飯から生産した「相こっこ卵」や「相こっこ堆肥」を地域の方々や小学校に還元し、環境や食育の大切さを地域に伝えていく「相こっこプロジェクト」。純粋高品質黒牛(黒毛和種)を、国産(校内産)の牧草やトウモロコシなど安全・安心なえさで育て、究極のブランド牛肉を生産する「相原牛プロジェクト」などは、その先見的な取り組みで数多くの賞を受賞している。 そして今年、同校の新たな歴史を作るひとつのプロジェクトが注目を集めている。それは「相原牛乳」の48年ぶりの復活。 「相原牛乳」は、1961年(昭和36年)に誕生し、最短流通コースから生まれる“低価格”が人気をよび、近隣の住民にとても喜ばれたが、時代の流れとともに下火になってしまったという。 このかつての「相原牛乳」の存在を知った畜産科学科の生徒25人が、“我々の手で復活させよう”と立ち上がった。 同科はこれまで肉牛飼育が中心だったが、3年前、ジャージー種の乳牛1頭を飼育し始めた。昨年10月、「うしみ」と名づけたこの牛が出産し、乳を搾れるようになったことも、復活挑戦へのきっかけとなった。 この48年ぶりの挑戦にOBも協力。当初、生徒が手で乳を搾っていたが、重労働で音を上げることもしばしばだった。そこで同市相模湖町で酪農をしているOBが搾乳機を寄付。以来、毎日約15リットルを生産できるようになり、生徒から「商品化できないか」の声が上がった。しかし、生徒だけでは限界があり、そこで「せっかくの自家製牛乳だから、市販の牛乳よりおいしいものを」と、東京都町田市で新鮮な乳製品の店を経営しているOBに低温殺菌加工(65℃30分)を依頼。高温殺菌の普通の市販牛乳より風味の生きた牛乳の生産に成功した。3月末に同市保健所の許可を受け、4月末から復活した「相原牛乳」の一般向け販売を開始した。 “相原の生徒が一生懸命作った「相原牛乳」をぜひ飲んでみてください!”の呼びかけに、多くの市民が購入に訪れた。「甘さが強くておいしい」「牛乳が苦手だったが、これならおいしく飲める」と好評で、リピーターも増えているという。 乳牛担当の生徒は、「自分たちの搾った牛乳を喜んで買ってくれる人がいるのに感動した」「OBの協力やアドバイスは本当にありがたかった」と感謝し、「これからもおいしい相原牛乳づくりに頑張りたい」と意欲を燃やしていた。 担当の教諭は「生産量を増やせば価格も下げられ、チーズやヨーグルトも作れる。相原牛乳ブランドを確立させるためにも、生徒の一層の挑戦に期待したい」と力を込めて話していた。 なお、「相原牛乳」の販売は、毎週火曜日と木曜日の午後4時30分から売れ切れまで。価格は900ml入りガラスビン1本500円(税込み)で、ビンの回収も行っている。 |
| (2009年6月) |

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