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全国の都市と農山漁村との往来(オーライ)や共生に、優れた取り組みを行っている団体や個人に贈られる第5回「オーライ!ニッポン大賞」(オーライ!ニッポン会議(代表・養老孟司氏)、農水省等主催)の審査委員会長賞に、2005年から北海道旭川市就実地区との交流を続けている就実高校(岡山市弓之町)が選ばれた。 同校と就実地区との交流は、偶然から始まった。 創立100周年を控えた2003年秋、同校関係者が、旭川市西神楽に校名と同じ地名があることを発見した。地名の由来も、同校の校名と同様、1908年に出された戊申詔書の「去華就実」であることや、学校の東側に「旭川」が流れていることもあり、同校側から就実地区に交流を呼びかけた。 04年夏には、約20世帯、100人ほどの人々が暮らす小さな農村、就実地区を、同校職員が初めて訪問。秋には、地区の住民代表が同校の創立100周年記念式典に招待され、出席した。 05年からは毎年、同校の2年生が修学旅行で就実地区を訪れ、大雪山系や十勝岳連峰が一望できる「就実の丘」で、植樹やカボチャの種植え体験、住民とジンギスカンパーティを開くなどして親睦を深めている。 また、06年には同校を訪問した地区住民が、1990年に就実小学校が閉校した際に作られた「就実音頭」を紹介。今ではほとんど聞く機会もなかったこの音頭を、07年に修学旅行で訪れた生徒が出発前に練習し、住民たちの前で披露、おおいに喜ばせた。 さらに、就実地区からは生徒が植えた作物の成育状況を定期的に知らせたり、同校では、生徒が文化祭で同地区のカボチャやジャガイモなどの作物を販売し、その収益金を地区自治会に寄贈するなど、交流は年々深いものとなっている。 今回の「オーライ!ニッポン大賞」には、全国からNPO法人や観光協会など84の応募があり、その中で同校は、生徒が主体となり、ユニークな発想で交流活動を広げていることが高く評価され、審査委員会長賞の受賞となった。 3月12日に開催された表彰式には、3年生4人が出席。事例発表「若い力─次世代がつなぐオーライ!ニッポン」に登場し、スライドで相互交流の内容を紹介したほか、就実音頭を披露し、会場から大きな拍手が贈られていた。 出席した生徒は「スライドでの発表と、楽しく元気な踊りで「就実」の良さを伝えることができたと思う」「北海道は大地も、人の心も広かった」と笑顔で話していた。また、就実地区との交流に尽力してきた教諭は「卒業した生徒の中には、再び就実地区への訪問を計画している者もいる」と話し、「もっと多くの人にこの交流を知ってもらえたら」と願う。就実自治会の役員は「今回の受賞は、私たち就実地域の住民にとってもうれしいこと。就実高校の生徒との交流を長く続けていきたい」と受賞を喜んでいた。 |
| (2008年4月) |

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バレーボールやソフトテニスなど、スポーツ強豪校として知られる岡山県の就実高校(岡山市弓之町)は、文化系クラブでも優れた実績を残している。NHK全国高等学校放送コンテストや全国高等学校総合文化祭などに毎年出場している放送文化部もその一つだ。 現在、同部が番組製作に取り組んでいるのが、同校そばの後楽園東側の旭川堤防上の桜並木「旭川さくらみち」の桜をテーマにした映像番組作りだ。 新鶴見橋から相生橋に至る旭川東岸の堤防に植裁されている桜(ソメイヨシノ・約150本)は、1957年、地元の人々によって植えられた。満開時には咲き誇る桜がパノラマのように広がり、毎年多くの人が見物に詰めかける県内随一の花見所である。 同校の放送文化部が番組を作るきっかけとなったのは、昨年11月、別の取材で岡山商工会議所を訪問した際、「旭川さくらみち」の桜が、植樹から50年を経て衰えが目立ちはじめ、このまま放置しておくと近い将来枯れてしまうという話を聞いたことから。 「ショックだった」という部員たちは、「桜のために、自分たちに何ができるかを考えよう」と立ち上がった。そして「みんなに愛されている桜の危機を伝えなければ」と、映像番組を制作することにした。 本格的なスタートを切ったのは、今年の1月から。図書館やインターネットなどで情報を収集。同月31日には、昨年10月、岡山商工会議所を中心に設立された「旭川さくらみちの桜を守る会」開催の治療開始式や、治療作業の様子を取材した。また、近隣住民にインタビューし、「旭川さくらみち」の桜への想いを聞いた。 3月15日には、50年前、桜の植樹を県に提言したというFさんの家族を、部員3人が訪問。カメラを回しながら「植樹した当時の苦労は」「今回の治療をどう感じるか」などを熱心に聞き取った。家族は「若い世代が関心を持ってくれて幸せ」と笑顔で語り、部員による映像作品の完成を楽しみにしていた。 就実高校放送文化部の部員らも、完成作品を全校生徒や多くの市民に観ていただき、10年後も、20年後も、さらにその先も、桜を愛でることができるよう、協力を呼びかけていきたいとしている。 なお、「旭川さくらみちの桜を守る会」によると、今後3年間で全ての桜を治療し、樹勢を回復させることで、約50年の延命を図ることができるという。 |
| (2008年4月) |
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