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今年の1月15日、「息子のそばにまだいさせて」と題する投稿が、南日本新聞のひろば欄に掲載された。投稿したのは、徳原千鶴子さん。そこには、難病と闘う息子陸ちゃん(2歳)を想う母親の気持ちがつづられていた。 陸ちゃんは昨年1月10日、鹿児島市立病院に緊急入院した。診断は悪性脳腫瘍だった。繰り返される抗がん剤の投与、そのたびに襲う激しい副作用。心配する家族に、陸ちゃんはいつも笑顔でこたえた。 陸ちゃんの容体は昨年11月ごろから悪化し、今年1月初旬、一時的に危篤状態におちいった。だが、このときも陸ちゃんは必死に耐え、奇跡的に落ち着きを取り戻した。その翌朝、病室の窓の外には、一面の雪景色が広がっていた。「陸、雪を見たかったんだね」。投稿はその感動をつづり、「神様、どうぞもう少し陸のそばにいさせてください。お願いします」と結んでいる。 投稿を読んで感動した鹿児島市の樟南高校の生徒45人が、1月18日、“陸ちゃん、生きて”の願いを込めて折った千羽鶴を、家族に贈った。 「親から子への思いがすごく伝わり、命の大切さを教えてもらった」という樟南高校の生徒たちは、「自分たちも何かしてあげたい」と放課後などの時間を使って、千羽鶴を折り始めた。 18日、病院を訪ねた生徒たちは、陸ちゃんが家族以外は面会謝絶のため、小児病棟の入り口で千鶴子さんに千羽鶴を手渡した。 千鶴子さんが「顔も知らない私たちのために、ありがとう」と目頭を押さえながら頭を下げると、生徒たちの目にも涙が浮かんだ。 しかし、家族や生徒たちの願いもむなしく、陸ちゃんは、19日午前1時50分、2歳10カ月の短い生涯を閉じた。 生徒を引率した教諭は「訃報を聞き、生徒もショックを受けていた。家族の大切さ、命の大切さを学ばせてもらった」と話している。 1月20日、徳原陸ちゃんの葬儀・告別式が、ご両親や多くの参列者に見守られてしめやかに執り行われた。 |
| (2003年4月) |
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