 明日から代表選考合宿 「世界」へ気後れなし 世界選手権(9月、米ニューヨーク)の日本代表を決める選考合宿(新潟)は第二次を迎え、15日から1週間行われる。参加する候補選手の中で伊調馨(一七)は最年少ながら、「気後れしていてはダメ。『世界』に初めて行けるチャンス」と、実に頼もしい。 上半身の強化がテーマ。腕をこじ入れる、持ち前の鋭い・差し・でつかまえても、トップ選手にはすぐ振りほどかれる。攻撃の芽を摘まれた悔しさは5月の一次合宿で何度も味わった。痛感するのは「上体の筋力不足」。代表選手の大半は7月の三次合宿を経て決まるだけに、練習は熱を帯びる。 日本女子は昨年の世界選手権(ブルガリア)で6階級のうち2階級を制し、団体女子の座も奪回。その日本の若き新星と熱い期待を集めている。 鮮烈の番狂わせだった。4月の「ジャパンクイーンズカップ」(茨城・霞ヶ浦)。年末の全日本選手権とともに重視されるこの大会で、初出場して56キロ級に優勝。それも準決勝で昨年世界一の山本聖子(日大)、決勝で一昨年の世界2位の清水真理子(群馬県協会)を連続フォールに下しての頂点だ。 56キロ級は山本と清水の争いに絞られ、他の選手との差は大きいと見られていた。伊調が優勝するなどと予想した人はいなかった。 この大会はシニアの下にカデット(16─17歳)があり、普通ならこちらの方に出場するところだが、「素質は抜群だし、早く世界レベルを経験させたかった」と、栄和人・中京女子大学附属高校監督があえてシニアに出場させたのがこの快挙を呼んだ。 「自信になりました」と本人がいうのも当然だろう。「勝てば私は大物」と臨んだ山本戦。パワーで互角に渡り合った末に逆転勝ち。清水戦は最初からペースを握っての快勝だった。勢いづいた若者の可能性は底知れない。 幼稚園児のころ、兄や姉と一緒にいたい一心で二人が通う青森・八戸市のレスリング教室に入ったのが、レスリングとのなれそめ。中学にレスリング部がなく、教室には中学まで通った。 男勝り─。そんな周囲の目は気になった。しかし、「人を投げる楽しみ」に比べれば小さなことでもあった。中学の柔道部で体のバランス感覚を養い、満を持して強豪の中京女子大学附属高校へ進んだ。女子レスリングは3年後のアテネ五輪で正式種目になる可能性もある。「世界選手権は目標。五輪は夢」。目が輝きを増した。(小松幹幸) 伊調馨(いちょう・かおり) 1984年6月13日生まれ。青森県八戸市出身。幼いころから同市のレスリング教室に通い、中学時代は2、3年と52キロ級で全国優勝。強豪の中京女子大学附属高校に進学した昨年は、63キロ級で高校女王に輝いた。同年、全日本選手権に初出場して56キロ級で5位。現在、同校2年。165センチ。愛知県大府市在住。 (2001.6/14 産経新聞・夕刊) |
| (2001年7月) |

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