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徳川四天王のひとり、本多忠勝の居城「大多喜城」の城下町として栄えた千葉県夷隅郡大多喜町に県立大多喜高校がある。2010年に創立110周年を迎える同校生徒は、多彩な地域貢献活動を展開している。中でも力を入れているのが、通学の足として生徒の約半数が利用する「いすみ鉄道」の存続・再生のための支援活動だ。 1988年に開業したいすみ鉄道は、いすみ市の大原駅から大多喜町の上総中野駅までの26.8kmを結ぶローカル線で、近年マイカーの普及や少子化等により利用客が低迷。慢性的な赤字で一時は廃線の危機に追い込まれたが、07年に「いすみ鉄道対策協議会」が猶予期間として2年間の存続を決定した。しかし、09年度の決算で収支の改善が見込まれない場合は、路線を廃止することが決まっている。 なんとしてもいすみ鉄道の存続を願う大多喜高校の生徒は、駅舎清掃活動の他、駅の柵のペンキ塗り替え、吹奏楽部が車内や駅前で開催した「いすみMトレイン」コンサートなど、様々な貢献活動を実施している。 今年の2月8日には、演劇部が走る芝居「Take the 芸 Train」と銘打ったいすみ鉄道車内公演を開催した。同鉄道のPRと利用者増を応援するイベントで、演劇部が企画し、今回が3回目となる。 前回までは幕末ものだったが、今年はPKO活動をパロディ化した「い鉄揚げの向こうに−−菜の花畑でつかまって−−」(Stage1)と「ゲリラロマンスは突然に−−とあるゲリラ部隊の愛の軌跡」(Stage2)。 大多喜駅午前10時14分発の列車を一往復運行。最後部にカーテンをつけて舞台裏とし、劇は通路で演じた。 今回の公演には現役部員8人にOB、OGが助っ人として参加。演目はつかこうへいさんの「ロマンス」を原案に、卒業生が構成したもので、地域ネタを満載したコメディー。前日に列車を借りてリハーサルをしただけに、難しいタイムキープも万全。公演当日は車内44席すべてが埋まり、高校生のはつらつとした芝居に乗客の笑い声と大きな拍手が響いた。 また、途中大原駅では撮影会も実施され、乗客は役者の生徒との交流を楽しんだ。 家族で訪れたという乗客は「電車の中での演劇観賞は新鮮だった。あっという間に駅に着いた」と喜んでいた。 揺れる列車とエンジンの音に負けず、両脇にいる乗客に向かって往復約2時間を演じきった生徒は、汗びっしょり。脚本を担当した演劇部の先輩は「いすみ鉄道のPRのためにも、また、観客に楽しんでもらう演劇の魅力を知るいいチャンス」と後輩たちの活躍を見守っていた。 今回の演劇部の生徒をはじめ、同校の生徒は、将来的にも地域住民の貴重な交通手段として、また、高齢化の進展や環境への取組の観点からも大きな役割を担ういすみ鉄道の存続のため、今後も積極的な鉄道活性化活動を推進していく考えだ。 |
| (2009年2月) |

 かつて、徳川四天王の一人、本多忠勝の居城であった大多喜城の遺構があることで知られる千葉県立大多喜高校。創立100年を越え、同校生徒は地域に根ざした様々な活動を実施しており、現在最も力を入れているのが、生徒の通学の足、いすみ鉄道の存続運動だ。 いすみ鉄道は、房総半島のいすみ市・大多喜町の2市町間を結び、歴史ある城下町と、自然豊かな沿線の町並みの中を走るローカル色豊かな路線。しかし、近年、利用者の減少による赤字で、存続か廃止かの議論が続けられている。大多喜高校の生徒にとって大問題であり、2月に行われたシンポジウムにも、生徒の代表が参加して存続を訴えた。また、吹奏楽部も存続をアピールするための街角コンサートを開催したり している。 そうした中でこの3月、6人の1年生が、いすみ鉄道西畑駅(大多喜町松尾)の柵のペンキの塗り替えを行った。参加した生徒は駅の隣にある町立西畑小学校の卒業生で、子供の時から利用している鉄道への感謝と存続を願い、熱心に作業に取り組んだ。 西畑駅は無人駅だが、花をかたどったかわいい駅の看板や、サクラをはじめ四季折々の花が咲き、利用客だけでなく観光客からも愛されている。6人の高校生は、古い枕木約90本を使って立てられた柵の1本1本を、白のペンキでていねいに塗り、西畑駅のメルヘンな雰囲気をさらに際立たせた。 いすみ鉄道の存廃の方向性が出るのは来年3月。ペンキ塗りに参加した生徒の「それまでにやれることをやる」という想いは、全生徒の共通した考えだ。今後も生徒会を中心に、今回のようなボランティア活動など、生徒自らが様々な活動を展開し、存続運動を盛り上げていく方針という。 |
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| (2006年6月) |
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