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栃木県の中南部に位置し、蔵の街としても知られる栃木市に、1907年(明治40年)創立の県立栃木農業高等学校がある。同校は100年を超える歴史と伝統の中で、一貫として生徒一人ひとりの個性や資質を生かした教育を実践してきた。生徒も、自ら進んで学ぶ意欲を発揮すると共に、部活動や資格取得に注力し、さらにはボランティア活動などにも積極的に取り組んでいる。 こうした普段の学びや部活動などのひとつの成果が、農作物をイノシシやシカなど野生動物の被害から守る「どうぶつロープ」だ。 同校の環境科学部の生徒が初めに考案。日頃から協力関係に東京都内の農業資材会社と一緒になってアイデアを出し合ったもの。数年の研究により同社が特許とエコマークを取得。2008年に商品化された。 環境科学部の普段の活動は、地域の自然環境問題についての調査研究。農家や関係団体と連携するなどして、山間地の自然や環境の保護、農業生産の活性化、農地の保全、民族文化の継承を図る他、農業高校の「もの作り」の教材を生かし、村おこしにつながる研究活動に取り組んでいる。 同部では6年前から、古くから栽培されている栃木市特産の野州麻(やしゅうあさ)が、マニラ麻など外国産の安い麻に押されるなどして生産が減少していることから、麻と農村の生活文化の研究と調査を進めてきた。その過程の中で3年ほど前、野生動物による農作物の被害が深刻さを増していることを知り、「トウガラシエキスを染み込ませた麻縄で畑を囲ってみたらどうだろう」と思いついたのがロープ考案のきっかけだった。トウガラシエキスを染み込ますアイデアは、農家が昔から野生動物や虫を防ぐため、家の軒先ににおいのきついトウガラシをぶらさげていたことが発端という。 日頃の学びから創造性及び実践力を育んでいる部員たちは、早速実験を開始。トウガラシやハーブのエキスを染みこませた麻縄を張ると、野生動物が寄って来ないことが確認できた。また、水分を吸収しやすい麻はエキスを染みこませやすい利点があった。昨年3月に続いて、10月に安蘇沢のシカ対策として試験的にロープを張った。農家からも、その効果に加え、「電気柵は重くて片づけるのが大変だが、この「どうぶつロープ」は軽くて扱いやすい」と高評価を得た。 環境科学部の部員は「実験でトウガラシエキスが目に入ったりして大変だった」「先輩の代から研究してきたものが形になってうれしい」と笑顔で話し、これからも、環境問題と合わせて、地域の活性化や貢献につながる研究と活動を続けていきたいと、意気込んでいた。 なお、「どうぶつロープ」は、昨秋から本格的に販売された。これまでに約1万本を販売したという。 |
| (2009年7月) |

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